めるてぃ・すのう【星屑企画】110305

2011年03月05日　アトリエ　S-PACE

初めての劇場。野江にこんなところがあるんだ。

最後までずっとだまされていた。
役者さんが面白いから、単なるコメディー風ファンタジーみたいな感じで観ていたら、急に切ない話になって、最後はすごく重いテーマを扱った作品として成立していたから。

こういう話を単に粛々と真剣に進めるのではなく、色々な要素を盛り込んでメリハリつけて楽しませるところは見事なエンターテイメント作品だと思います。

20分前ぐらいから前説開始。
ラジオ風に3人の役者さんが話される。MCの大牧ぽるんさんは相変わらずの不思議っぷり。笑っていいのか、引いていればいいのか。
それにプラスで、音響の新井ハルさんのライブ。音楽活動を色々とされているらしい。ビートルズナンバーを綺麗に歌われた。

オープニングは全員揃ってのダンス。うまく書けないが、この作品の夢の世界という雰囲気が伝わるようなものだった。狭いスペースなのに、けっこう圧巻されるなかなかの迫力だった。

話としては美雪という少女の夢の話。
部屋に閉じこもり、お姉ちゃんに見守られて、毎日見る夢。

ピエロとサーカス団長の話やちょっと風変わりなピーターパンとフック船長の話。
このあたりは、おかしなキャラがドタバタしたコメディータッチ。セリフの掛け合いもとてもうまく、笑いが絶えない。
DVDでしか観ていないが、ピースピットの通天閣バトルロワイヤルを彷彿させる。

さらに友達の恋愛話や両親の昔話へと進む。内容は深刻で切ないものとなる。
このあたりはまだ作品の基盤が理解できていなかったので、夢話のオムニバス作品で個々が独立しているのかと思っていた。
だから、せっかくファンタジーで面白かったのに、急に普通の現実的な話になって面白くなくなってきたなあと思っていた。

ところが、だんだんと作品の設定が分かってくる。多分、分かる人はもっと早く気付いているのだろうが。

最後はこれもまた風変わりな双子の浦島太郎の話。
これでようやくだいたいのことが分かった。
役者さんが面白いので、すっかりだまされていたが、生きるということを考えさせる切ない話になっているみたい。
優しくも、生きることのへの勇気を与えてくれるようなラストを迎える。

ファンタジーっぽい話では面白キャラだったのが、シリアス話ではきちんとしたキャラに切り替わっていたりするところが、役者さんの魅力を感じる。
とは言っても、さすがは関西の役者さん。絶妙なタイミングでのつっこみはどんな場面でもうまい具合に笑いを誘っていた。

基本的に笑って楽しめるエンターテイメント作品が好きだが、そこに、はっきりしなくても何かを伝えてくるようなものがあると観劇後も色々と考えれて楽しい。
この作品はまさにそんな作品でした。