富士山ゾンビ【The Stone Ageヘンドリックス】110212
2011年02月12日 インディペンデントシアター2nd
笑って、泣かせてで素晴らしかった。
せっかくのいい話が笑いで中途半端になったり、面白くて存分に笑えたけど、お笑いを観に行った訳ではないんだけどなという感想になったりすることがけっこうあるけど、ここは違った。
両立は難しいと思うけど、これが成立している作品は個人的にとっても好き。
ここはそれをたやすくかどうかは知らないが、ばっちりやってしまう貴重な劇団だ。
舞台はとある山奥の村。
女性とその婚約者が結婚の挨拶にやってくる。
女性は一瀬尚代さん(bagdhad cafe)、男性は緒方晋さん。
男性は当然、てんぱっている。それに対しての飄々とした女性の掛け合い。
最初のシーンから会場も大笑い。
挨拶するご相手は女性の祖母。
両親や姉妹は事故で亡くなっている。
そんな環境で大切に女性を育ててくれた祖母には絶対に挨拶しないといけないと奥深い山奥まで訪ねてきた優しく律儀な男。
でも、この山には重大な秘密があった。
山の力で死んだ村人がゾンビとして甦っているのだ。
当然、女性の両親や姉妹もゾンビとして存在している。
そんな山の秘密をこれまで言いだせず、そして、連れてきた今になってもどうしてもごまかしてしまう女性。
女性は男性のことが好きだし、男性ももちろん好き。
でも、こんな秘密のある2人が本当に一緒になれるのか。
家族も大事、村の秘密も大事、2人もお互いに大事。どれも切り捨てるわけにはいかない。
所詮、違う世界に生きる人ということで別れざるを得ないのか。
家族や村人達と接する中、男も女も自分達の気持ちに正直に従っていく。
それを周囲の人達もそうなるように振舞う。
最後は大切な家族愛を受け取った2人が自分達の愛を深める決心をする。
結婚や付き合う時の、お互いの過去。
言ったらダメになるのではなんて思って、隠し合い、別れてしまうなんてよく聞く話。
個人同士が好き合っていても、お互い1人で生きてきたわけではないから、色々なことがあるものね。
大袈裟だけど、周囲を巻き込んだ2人の人生同士の合体。好きだから付き合う、結婚するという単純なものではない。
でも、そんなことを乗り越えた2人はきっと幸せになれるんでしょう。乗り越えてしまえば、そう大したことじゃないのかもしれない。
こんな話の作品や本はよく見かけることがあるけど、ゾンビはね・・・。こりゃあ、乗り越えるのも大変ですわ。
あまりの奇想天外な設定に驚きますね。
しかし、この作品では応援してくれる人ばかりだったな。家族も村の人達も。
現実はそうはいかないでしょ。
でも、誠実で優しい男だからそうなったのかな。女性の純粋な好きな気持ちも伝わるものなのかな。
そんな人達に育てられた女性だったから、きっと男もずっと一緒に大事にしたいと強く思えたのでしょう。
最後、犠牲というかある意味悲しいことを乗り越えてのハッピーエンドとなるのですが、とても爽快でよかったねと心から思えるような話でした。
役者さんは、もうみんな個性的で魅力的な方々ばかり揃っているのですが、女優さんの力がすごすぎる。
動きや表情、セリフ、全てで笑わし、そして感動させる。
上述した一瀬さんに、本木香吏さん(仏団観音びらき)、西川さやかさん(月曜劇団)、大北えつさん、片山誠子さん(ソラ豆)、上野淑子さん。
最後はトークショーも。
男5人。ちょっとTEAM NACSみたいな感じで楽しいトークでした。
良かったので御礼として、前作と短編集のDVDを購入。
本当は、観劇始めた頃に見逃した喪主もピアノが弾けたならという作品を観たかったのに販売されていませんでした。噂ではすごい傑作らしいのです。当時は劇団名とか全然知らなかったからなあ。
と思っていたら、当日チラシに再演の予定が。いつかは未定みたいですが、これは行かなくてはいけません。
楽しみにしています。
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