作為的な人たち【カンセイの法則】110225
2011年02月25日 芸術創造館
ボランティアという善意の塊みたいな事に、悪だくみを持った人達ばかりが集まってきて、バタバタを起こしますが、最後にそんな人達の心の底の善意が見え隠れするというような、典型的なお話。
個人的にはあまり内容は好きではない。
まあ、これは私が、悪いことしててもやっぱり元々はいい人なんだ・人って信じられるよね、みたいな正論がどうも気に入らない精神状態に今あるからなだけです。
悪いことしている間に傷ついた人達がいるわけで、この傷はいいことをし始めても消えない。
本当に悪い人なんていないって言っても、実際には被害を被ってしまうことはあるわけで。これはどうしてくれるんだよと。
なんて、ちょっと斜に構えた観方をし過ぎかな。
本当は観た後、少し優しい言葉をかけてみようかな・ちょっとだけ人を思いやった行動をしてみようかな、なんて思えるお話なのかもしれませんが。
(以下、ネタバレ注意。公演は日曜日もあります)
舞台は震災地の古い公民館。
その一室に震災救援のボランティアとして大学でボランティアの研究をしている2人がやってきます。
感謝して迎え入れる地元の役人たち。
そこに、売れないアイドルグループ、マネージャー、事務所社長が。彼女たちもボランティアに来ています。
そして、さらに男3人組。彼らの正体は震災泥棒。計画ミスでみんなに見つかってしまい、仕方なくボランティアをしにきたことでごまかしています。
いまひとつ、まとまりが悪い中、作業分担が決められボランティアが開始されます。
幼稚園の慰問、ガレキ運び、震災住居に住む方への訪問など。
ある日、テレビ取材班がやってきます。
アイドルグループのボランティアの密着取材です。当然、事務所社長が売り出しのために呼んでいます。この震災をチャンスにしようとしているのです。
ここから、全員のボランティアへの真意が見え始めます。
アイドルグループは上記したとおり。
テレビ取材班も視聴率稼ぎのいいネタなので、半分やらせでするつもり。
震災泥棒は、その事務所社長から協力する代わりにお金をもらう約束をします。しかも、早くにもらって持ち逃げする気です。
まともそうな大学生も、将来ボランティアを事業化して会社を作りたいので、これを利用して融資を受けることを考えています。
そして、役人はテレビ放映されることによって、震災補助金を手に入れる魂胆。
そんな作為的な考えを各々隠しながら、ボランティア活動を続けますが、なかなか心を開いてくれない幼稚園の慰問を何とかしようと議論し合ったり、震災住居の優しい老人に出会ったりする中、彼らに心の変化が訪れてきます。
まあ、最後は各々が自分を見つめなおすようなハッピーエンド。
テレビ取材班だけは、こんな作為的なことが仕事ですので、少しブラックな一面を持たせて終わらせています。
特徴的で考えも違うグループが一つの目的のために集まった時に起こりそうなぶつかり、もめ事がうまく表現されていたと思います。
ドロドロした感じにならないように、アイドルグループとかは、とんでもないキャラ設定。
震災泥棒もどこか憎めないズッコケ3人組みたいになっています。
舞台の切り替わりが無く、ずっと公民館の一室。
ボランティアに向かった人達に外でどんなことが起こったのか、悪だくみがどう発展しているかなどは、全てこの部屋での会話から推測しなくてはいけなく、けっこう頭を使って集中しないといけない観劇でした。
作品名が話の内容とぴったりうまくはまっているなあと思います。
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