虹色のそらと短パンと ~短パン軍団とミニスカ天使~【劇団暇だけどステキ】110219
2011年02月19日 シアトリカル應典院
劇団本公演は、今回で4回目。
毎回、本当に楽しい作品です。
笑いが随所に散りばめられ、各役者さんがとても個性的でおバカなことをする。
衣装も何だこれは、いい大人がみたいな感じで、最初の方は、とんでもない茶番だと思ってしまいます。
でも、実はストーリーは、勇気づけられ、元気になるような話。
(以下、ネタバレ注意。日曜日は1回だけなので、満員かもしれませんが、観に行くことをお勧めします)
題名からは想像つかないような話です。
冒頭は、今では昔懐かしの子供時代。
公園で遊ぶ、子供の象徴、短パンを履いた子供たち。
公園にいて、いつも子供の中に入り込んでくるおっさん。
こんな時を過ごした時期、確かにありましたよね。
お母さんが何かの事情で出ていき、おばあちゃん子の少年。
少年はヒーローにあこがれ、将来の夢はもちろん正義のヒーロー。
おっさんがそんな少年にヒーローの話を聞かせます。
典型的な正義の味方の衣装、風になびくスカーフに決めポーズ。でも、なぜか短パン。
少年の心を持ったヒーロー、短パン戦士山田。
そんなヒーローは現実にその少年の下に現れます。
そして、困ったときにはお互いいつでも助けるという約束をします。
時は経って、そんな子供たちも大人に。
少年も会社に勤めています。
いまだ、ヒーローへのあこがれを捨てれず、アクションヒーローを夢見るようなことを言っていますが、現実はそんな夢にかまけて仕事をしないダメ社員。
今日も、しっかりものの後輩女性社員に叱られながら、仕事をするように突かれています。
ある日、ヘリの轟音と共にある男が会社にやってきます。
男の名前はランボー。見た目もそのまま。
男が言うには助けて欲しいと。二人はそのままさらわれて、ある場所へ。
時同じく、かつて少年と子供時代を過ごした人達。
図書館で働く本好きな男。結婚して子供もいますが、妻への愛情をきちんと表現しないので、妻は愛されているのか不安になっているみたい。
アイドルを目指すがなかなか芽が出ない女性。それでも頑張り続けています。そんな女性のそばにはいつでも、彼女を応援し続けるマネージャー。彼女がアイドルとなって成功することを信じ、一緒に頑張り続けています。
ゲーム屋で大した夢も無く働く男。ネットで神と呼ばれるような男になっているようで、それにあこがれて知り合った女の子。彼女もまた、十分に愛された経験が乏しいのか、自分のことを名前で呼び不安な時を過ごしている。
そんな人達も一緒にさらわれてしまいます。
連れて行かれた場所は短パンアイランド。
マザーの下でいつまでも少年として夢を追って生きている短パン戦士山田がいます。
最近現れた悪魔大王とその手下、ミニスカを履いた天使グループのセクシーな攻撃によって、数多くの仲間たちが次々と少年の心を失ってしまって、島は崩壊状態にあるみたい。
そんな島を救って欲しいと集められたようです。
短パン軍団とミニスカ天使たちの激しいバトルが繰り広げられます。
でも、この事態にはある理由がありました。
いつまでも少年ではいられない。
夢を追っている間は、決して夢を実現できない。
いつか、少年は大人の階段を登らないといけない。
いつか、この島は崩壊しなくてはいけないのです。
それは、ずっと見守ってきたマザーの切なる願いでもあります。
必死に抵抗する短パン戦士山田。
そんな彼の心を変えることができるのは、今、大人として生きているさらわれた仲間たち。
彼らがまだ少年でありたいという甘えた心を変えることが必要です。
この島は、少年が創り出している幻想でもあるのです。
かつての約束、お互い困ったときに助けるということは、この島を守ることではなく、崩壊させることにある。
そんなことを全員が理解し合った時、短パン戦士山田は少年の心の象徴である短パンを脱ぎ、この島の世界にピリオドを打ちます。
・・・と、書けなかったキャラもあるのですが、話はこんな感じでしょうか。
短パンが子供の心、ミニスカが大人の心ということでしょう。
少年の仲間たち。
それぞれ、大人になった今、いい意味でも、悪い意味でも少年の心を持っています。
今回の事件で、その中でのそれに甘えた心を捨て去り、一歩成長した姿を見せて話はおしまい。
設定さえ変えれば、ずいぶん真剣な作品になったことでしょう。
これを、訳の分からない設定で、笑いをふんだんに交えながらも、しっかりした話にするところが、この劇団の最大の魅力だと思います。
最後は短パンを脱ぎますので、当然下着姿になります。
そんな恰好で、輝く光の中、少年から大人への重大な決心を語る。
あまりにもシュールな演出なのに、ちょっと感動すらしてしまうのは、そこに至るまでの話で笑わせながらも、話の芯を十分なまでに伝えたからだなと感心してしまいました。
作・演出の出来の良さに、役者さん達のおバカで真剣な姿に見事にやられました。
作品中、すごく印象に残っている言葉があります。
自分のことを名前で呼ぶオタク風の女の子とアイドルのマネージャーのやりとり。
自分が愛されていないことに不安を持つ心と、今までアイドルに対してずっと続けてきた優しい思いやり。
そんな二人の心がきちんと通じ合ったなあと感じられ、とても嬉しい言葉でした。
手鏡の話なのですが、ここでは書きません。
劇場かDVDで確認してください。
名前のとおり、本当に素敵な劇団。
益々好きになってしまいました。
本当は前作のガニット団のDVDを購入しようかと思いましたが、やめました。
私が欲しいなというDVDを購入しない理由は、だいたい3つのどれかです。
お金がちょっと厳しい、生で観るよりも格段とレベルが落ちるので作品に悪い印象を持ちたくない。
あとは、DVDを購入するためにも次回公演を必ず観に行くような状態に無理矢理しておく。
次回公演は11月のようです。
また、素敵な作品を期待しています。
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コメント
何時もいつもご来場下さりありがとうございます!
何だか今は色んな気持ちがない混ぜで上手く言えませんが本当にありがとうございます!
次回公演、11月新人達と一緒に少しでも大きくなれるよう凶から努力して行こうと思います
また良かったらご来場下さいませ
本日は取急ぎお礼まで
本当にありがとうございました
投稿: おさみき@暇ステ | 2011年2月21日 (月) 16時21分
>おさみきさん
コメントありがとうございます。
優しくも厳しいマザーのお姿、素敵でしたよ。
今回は客いじりとかされませんでしたね(゚ー゚)
期間が空きますが、11月も楽しみにしております。
客演とかもされるのかな。
注意して見ておきます。
お身体に気を付けて、ご活躍ください。
ありがとうございました。
投稿: SAISEI | 2011年2月22日 (火) 10時27分