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2011年2月 8日 (火)

巨大シアワセ獣のホネ【突劇金魚】110206

2011年02月06日 精華小劇場

相変わらず、心地いい不思議空間を創り出される。

どこか表面だけをなぞったような話の進み方をしているのに、いつの間にか作品の奥深くまで入り込んでしまっている。
感覚表現なので分かりにくいでしょうが。

あらすじは、話としては複雑ではないのだが書きにくい。

街から外れた川向こうに住む家族。父・母・娘。世捨て人。
毎日、夜になって人目につかなくなる頃に行動する。
母は今の場所に満足。街の人達、生活にかかわらず、家族だけでの生活を捨てる気はない。
父は物語を自分で書いており、それを街の人に見せたいのか、今の場所が自分の場所だとは思っていない。
娘は夜になって遠くきらめく街へのあこがれ、不安など複雑な感情がうずまいているよう。

川を挟んだこちら側。二人で住む兄弟。
純粋がゆえに色々な人から好かれる兄。今の場所に満足、というかどこでもそこで自分の場所を見つけられるような人。
弟はその人気者の兄に対して、兄弟愛もあるが嫉妬などの複雑な感情が入り込む。逃げ出したい気持ちも大きいようだ。

高層ビルの一室。
視覚障害の男と両手が不自由な女。男が起こした事故が原因みたい。
長い間、男が罪滅ぼしのために女の面倒をみる。
ある日、女は今の場所を出て行こうとする。恐らくは自分がいては迷惑をかけ続けるという男への思いやり・嫌悪や自分への挑戦など、これも複雑な感情みたいだ。

世捨て家族の娘、弟、女が、意を決してという感じではなく、何かの流れに流されるように今ある場所から出ていく。
そして出会う。

そこに現れた男。
昔、病気のために部屋に閉じ込められ、外に出ぬまま死んでいった男の骨を集め、博物館を創ろうとしている。
そんな男と3人との不思議な共同生活が始まる。
男が自ら作る不思議なお香により、3人は自身の潜在意識と向き合いながら、理解・拒絶を繰り返しつつも、今いる場所からの旅立ちへと向かう。

毎度のこと、よく分かりませんね。
ここはDVDを出すはずですから、詳細はそちらで。

何かモヤモヤした、自分でも何か分からない現状を変えたい気持ちが、少しずつ少しずつ、自身で理解できていき、行動へと向かわせている。
そんなふうに受け取りました。
人が変わっていくって、こんな感じかもしれません。

今いる場所からの旅立ち。
よっしゃあ、行くぞ!みたいな気合の入った覚悟の旅立ちではなく、ごく自然にゆる~く旅立っていく。
きっと、いいものが見つかるだろうな、見つかったらいいだろうなと思わせる。

作品中の3人は最後、それぞれの場所へと旅立ちます。
娘は、どこへ向かうのか分かりませんが、きっと何か幸せなものをつかみに行きました。弟も一緒にそれに一緒に付いていきますが、兄も連れてです。
女はまた男のところに戻りました。でも、それは元の場所ではないでしょう。きっと、前とは変わった場所です。

男のところに戻った女が、出ていった時の自分の気持ちを男に簡単なセリフで言います。
それに微笑む男。
このシーンでほろりと泣いてしまいました。
女は蔵本真見さん、男は赤星マサノリさん(sunday)です。お二人ともとっても素敵な表情でした。

関係ないですが、作品中、「娘のステージ」という訳の分からない店で女が童話のような歌に合わせて踊るシーンがあるのですが、それがめちゃくちゃかわいい。
この店あったら、間違いなくはまって通うな。

最後、男と女が、旅立っていく娘や兄弟の姿を思いながら、頑張れよというセリフが心に残っています。

独特の雰囲気が、観る者を徐々に奥深い世界へ招き入れてしまうような、本当に不思議な世界でした。

劇団本公演としては、前作と今回だけの観劇ですが、すっかりお気に入りになってしまいました。

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