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2010年12月24日 (金)

NUDE ~底に在る傷情の顔~【カラ/フル】101223

2010年12月23日 ウィングフィールド

演劇作品らしいといえばそのとおりのような感じだが、何とも気味の悪い作品だった。

精神異常とかが一つの設定になっているので、それも仕方がない。

観終えて、何か心がモヤモヤしてすっきりしない。

3部作。

全てが絡んでいるのかな。2話だけが少し違う世界にいるようにしかとらえられなかったが。

1話。「最低ノ忘却 最大ノ渇愛」
冒頭から不思議感が漂う。
ひきこもりの男がゴミを捨てに行くと、女が捨てられている。拾って帰る。
友達に相談するが、あまりまともな友達ではない。いつものように何かを押しつけて去る。今回はかばんを預かる。
男と女の共同生活が始まる。やがて、男には恋心が芽生え、女もそれを拒絶しない。
やがて、二人だけの世界を求めて旅に出る決断をする。
男がかばんを開けると、中には現金。友達が戻ってくる。
女を見て気付く。男の別れた彼女。
女は友達を殴りつける。とりあえずお金を手に入れて、二人で旅立つために。

友達が戻って来ず、気付かれることなく旅立っていたらどうなったんだろう。
何となくぞっとする。

2話。「メリィィ・ゴォォォ・アンダーワールド」
鬱になってしまった彼と別れた女。自分の心配が彼のさらに負担になることを理解しての考えみたい。
友達に相談するが、本人を目の前にしたときだけ親身なふりをする所詮上っ面だけ。他の友達と女のことをバカにしている。
女自身も鬱になっている。
自分自身のもどかしさや周囲への敵対心などの感情が、作品名どおり女の周囲を回り続ける。

女が相談した友達に裏切られていることを知った時の悲しみと憎しみの表情はぞくっとする。女優さんは楠瀬アキさん。ちょっと怖い。

3話。「見上げるだけで、シアワセ」
1話で登場した友達の男が屋上のベンチに座っている。殴られてケガをした頭には包帯。場所は精神病棟。
ちょっといいかげんそうな医者がいつものように屋上で軽く話しかけて、すぐに出ていく。
おかしな女性が登場。思い込みが激しく、完全に自分の世界に入り込んでいて会話のキャッチボールができない。女が弟と呼ぶ女性がやってくる。
同性愛。弟と呼ばれる女性は、そう呼ばれている間は自分の愛する女に接触していられるので否定しない。
ある日、女は自殺をしようとする。止めに入る弟。そして、いつものように屋上にいる男。
翌日、男と医者が会話をしている。医者は自殺を防いでくれたことに感謝。男は、いつまでこんなおかしな精神病棟にいなくてはいけないのか、頭のケガだけなのだから一般病棟に移せと。
医者が男に問う。あなたは誰で、あなたは誰に殴られたのか。
男の答えは・・・

全話を通じて、ほとんどの役が妄想癖のある精神疾患を思わせる人ばかり。
その中で唯一、まともな役がこの友達の男。悪いことばかりしているようではあるが。
実際、重苦しくなりそうな展開のところどころで、男のおちゃらけた行動や言葉が場を和ます。
でも、実際は・・・

最後、これまでの全てが現実から否定され、精神的な妄想世界で繰り広げられていることを知る。
巧みな展開で、話として面白いが、やはり気味悪く、すっきりしない。
不安を煽るような結末はとても怖いが、印象には深く残る。

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コメント

お礼を申し上げるのが大変遅くなってしまいました。
劇団鉛乃文檎の泥谷です。

改めて年の瀬のお忙しい最中に、ご観劇いただき本当にありがとうございました。

正直今回はSAISEI様の好みには合わない部分が大きかったのではないかと思いますが、ご感想を拝見したところ、しっかりと作品の内容を受け止めていただけたようで、本当に感謝しております。
個人的にはSAISEI様の仰る「和ます」役割を強く意識して取り組んだ作品ですが、なかなか力及ばずといった部分も多く、いろいろと課題の残った作品ではありました。


来年は3月にMicro to macroで火曜日のゲキジョウ、そして4月にZsystemプロデュースに出演させていただくこととなっておりますので、今年感じた自身の課題をしっかり消化して、一人でも多くのお客様に楽しんでいただける作品を提供出来るよう、努力していきたいと思います。

大変厚かましいお願いではございますが、SAISEI様には来年もぜひぜひご観劇いただき、また今年同様、率直なご感想をお聞かせいただけますよう、心よりお願い申し上げます。


それでは、本年は本当にありがとうございました。
良いお年をお過ごし下さい。

長文、失礼致しました・・

投稿: 泥谷 | 2010年12月31日 (金) 13時54分

>泥谷さん
毎回コメントありがとうございます。

難しい作品でした(゚ー゚;
でも、こういうタイプの作品も少しずつ理解して楽しめるようになってきているようです。たくさん観劇したかいがありました。

泥谷さんの役どころの理解は私が思っているのとだいたい合っていたみたいですね。
不思議な魅力が出ていたように思います。

Z sysytemは既にチェック済み。火ゲキは知りませんでした。
ほぼ毎週観に行っているので、多分拝見することになるでしょう。

来年もご活躍を楽しみにしています。
素敵な作品をどんどん創ってください。

来年もよろしくお願いします。

投稿: SAISEI | 2010年12月31日 (金) 17時03分

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