憑き夜の晩に -Last Christmas-【感動 Factory】101212
2010年12月12日 ロクソドンタブラック
今週ぐらいから週末の公演が多くて、全部は観れないので選ぶのが大変です。
ここは初観劇。心温まる作品をモットーとしているらしく、ちょうどそんな気分なので、この劇団を選択しました。
見事に当たりでした。私のすごく好きなタイプの作品。
少しほろりとして、観終えて優しい気分に。
舞台は閉園するお化け屋敷。
真ん中に大きな青鬼像。そして、周りには雨降り小僧やぬらりひょんなど、親しみやすい妖怪達。
息子のお友達の親子がやってきます。解体業者なので、視察に来ているみたいです。
お化け屋敷を経営している夫婦。もう30年もやってきました。
今日はクリスマス。そして、息子の誕生日。
毎年、このお化け屋敷の青鬼像の前でクリスマスとお誕生日パーティーをしています。
閉園するので今年でそれも最後。
解体業者の親子も誘って最後のパーティーをすることになりました。
息子の姿はありません。
ずっと昔に事故で亡くなっているのです。
でも、息子は天国に行くことなく、ずっとこのお化け屋敷にいていました。
大切に扱われてきたので、憑き物神となった妖怪達の人形と一緒に。
でも、そんな日も今日が最後になりそうです。
天国から天使がやってきて、息子を連れて帰ろうとしています。
抵抗しますが、閉園になるので憑き物神ともお別れしないといけません。
ちょうどいい機会なのかもしれません。
そんな息子は覚悟を決めて、天国に旅立つことにします。
でも、最後に一つだけ両親に伝えたい言葉が。
天使がある方法でその願いをかなえます。
別人になって、両親の前に現れパーティーに参加する。
ただし、息子であることがばれてはいけません。ばれた瞬間に息子の存在がすべて消えてしまうからです。
息子の友達という姿でパーティーに参加。
「泣いた赤鬼」という絵本が大好きだった息子。
赤鬼と人間を仲良くさせるために、自ら悪役をかってでて、最後は赤鬼に手紙を残して旅に出る青鬼。
そんな青鬼が大好きだった息子。お化け屋敷の青鬼像も両親からのプレゼントでした。
でも、その姿を生きている間に見ることは出来ませんでした。
作ってもらって嬉しくて周りが見えなくなったのか、交通事故で亡くなったからです。
両親はずっとそのことで自分たちを責め続けています。
息子が伝えたかった言葉は、もう大丈夫、ありがとうということです。
ばれずにそのことを伝えることは難しく、なかなかタイミングがありません。
天使や憑き物神達も協力しますが、もう時間がなくなりそうです。
息子は考えます。
そして、天国で息子とお友達の青鬼からの伝言という形で芝居をしながらそれを手紙にして伝えます。
絵本さながら、青鬼が赤鬼に渡した手紙のように。
複雑ながらも両親には何か伝わったみたいです。きっと、これからは両親も新しい人生を一歩踏み出してくれるはずです。
それに息子の友達という設定でも細かな仕種、笑顔が母親には息子を十分連想させたのでしょう。
あわてて、息子と仲良かったので似てしまったとごまかし、最後までばれることはありませんでした。
感謝の気持ちに手を差し出す母親と握手をして、最後のぬくもりを感じる息子。
時間切れ。息子は旅立ちます。
細かな部分は省略しましたが、だいたいのあらすじ。
DVDは出るようなので、詳細はそちらで。
ありがちな設定ではありますが、妖怪達などのキャラが不思議な雰囲気を醸し出し、新鮮味を感じる作品でした。
天使はごくふつうの公務員のような格好で出てきます。熊田洋司さん。熱演でした。
天使としての規律、人を思う気持ちの葛藤の中で話す言葉、ふるまう動き、表情は秀逸だと思います。
あとは妖怪役の方々。個性豊かで面白いのはもちろん良かったのですが、この話の中で重要な、大切に扱われてきたので憑き物神になっているという人間に対する思いが溢れていることが感じ取れます。からくり人形のような動きもとても良かった。このあたりはさすがは役者さんです。
いい劇団をまた発見。次回公演もまた観に行きます。
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