GIFT【Project UZU】101030
2010年10月30日 ロクソドンタブラック
当日チラシに作・演出の御意さんが書かれているように、絵本のような幸せな話。
観る人をちょっぴり切なく、優しい気持ちにさせるとても綺麗なストーリー。所々にかわいらしい舞台演出もあって、いい作品だった。
願わくば、もう少し広い劇場の方がより見ごたえがありそう。明らかに役者さんの動きが制限されているようなシーンが散見され、もったいないなあと感じた。
個人的にはこういう素敵な作品は芸術創造館が似合うと思うのだが。
最初に影絵を使ったシーンで、作品の世界観がうまい具合に説明される。その後の話にとてもすんなり入りやすかった。
舞台は太陽の無くなった世界。
地上は雪で覆われ、地下で暮らすようになった人間達の廃棄物による瘴気が充満している。
地下は9層に分かれ、地上に一番近い1層目は瘴気が侵入して人間は住めない。人間達に不要とされてスクラップにされる前のロボット達が存在している。
2層目は人間が住んでいる。神を信じて、いつか太陽が戻ってくると思っている人達が集まる。
最下層は地下都市の管理者が住む。
物語の最初は、1層目のスクラップ置き場で3人が出会うところから始まる。
夢を見て太陽を人間達に返すように神にお願いするつもりの少女、2層に住み同じように地上を目指して太陽を返してもらおうと考えている少年、そして、神を信じられない最下層から何かの指令を受けてやってきた女性。
少女はどこに住んでいて、どうやって生きてきたかの記憶が全く無い。
3人は1層に居を構えるスクラップされそうなロボット達に襲われる。ロボットを操るのは、昔は2層目に住んでいたが瘴気にやられて病気になり1層目に追いやられた少年。人間に恨みをもっているみたい。
危機に陥った3人。その時、少女にささやかれる声。その声に導かれるように強大な力を使ってその場を脱出。
とりあえず2層に避難する。そこで少年の兄や最下層の管理人達と接触することになる。
迷走する3人とその周囲の人達やスクラップロボット達との関係。
みんなが幸せになるために、様々な障害を乗り越え、3人は太陽を取り戻すために再度地上を目指す。
あらすじはこんな感じ。
何となく分かるでしょうが、ネタバレになりますが、少女こそ太陽だったということです。
最後は本当にハッピーエンドなのか少々疑問が残る形です。
このあたりが逆にこの作品のうまいところで、当日チラシに書かれているように多くの童話の終わり方は確かにハッピーエンドだけど何か無常を感じさせられることがある。この作品も同じような雰囲気を持たせています。
恐らく、役者さんは御意さんと近藤ヒデシさん(COMPLETE爆弾)以外は初見なはず。
なのに、不思議な事に役とのマッチ感がとてもあるキャスティングでした。また、違う舞台でも観てみたいなと思わす方が多いです。
神を信じられないようになって苦悩する女性役の江本真理子さん、スクラップロボットの悲しい性を楽しく演じられていた干す茶さんと西田美咲さん(ロンリープランプリーラビッツ)。
主人公というのか太陽の少女役の川原梓さん(神戸大学自由劇場)。
特に川原さんは謎めいた少女の持つ不思議感とともに芯の強さや優しさも感じられるような表情演技が素晴らしく、太陽というイメージをつかみやすかった。と書くと、これに対称した役である月の女性役の柚彦さんも同様の感想だったことも書いておかなくてはなりませんね。
終演後、次回作の予告編みたいなものがありました。
今回と感じが似たような終末の世界を描くような作品みたいです。
でも公演は2年後ぐらいみたい。どうもすごいプロジェクトを立ち上げるつもりのようです。
よく分かりませんが、楽しみにしたいと思います。と言っても、忘れてしまうので、客演とかでさらにご活躍いただきたいと思います。
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