訪問者【ワンアワーパーキング】101119
2010年11月19日 下北沢小劇場「楽園」
OFF OFFシアターでがっくりしてしまい、そのまま帰るのも癪なので少し時間をつぶして、観劇。
こちらも、どんな作品・劇団かも全く分からない状態でのギャンブル観劇。
感想は、いや、これは良かった。
いい話ではないけど、迫力があってこれぞ演劇作品だといった感じ。
地下にある小さな劇場。50人ぐらいしか入らないんじゃないかな。
大阪でいえばロクソドンタぐらいか。いや、もっと小さいかな。
コンビニ強盗をして逃げる男。逃げる途中に事故にあい、近くのマンションの部屋に逃げ込む。
部屋には若い女性。ナイフを突きつけ、部屋に居座る。
そして、誰かに執拗に何回も電話をかけている。
一方、中年男性と若い男。どちらも教師。
中年男性はいい感じで酔っている。自分の家で飲もうと若い男を誘う。
どうも理由があるみたい。
中年男性の娘が最近落ち込んでいて元気がない。その悩みを若い男に聞きだして欲しいみたい。
母親を亡くしており、男親には言いにくいことなのかもしれないということと、娘は若い男の元教え子だからだ。
もう一つ。水商売の女性と暴力的なヒモの男。女性のマンション前でいつものようにケンカ。女性はダメな男にも関わらず、面倒をみているみたい。よくある話だ。
さっきから何回も電話がかかってきているが、男を気にしてか、電話には一切出ない。
上記3つの話が絡み合っていく。
いくら下手な文章でもお分かりいただけると思うが、中年男性の娘は、今まさにナイフを突きつけられている状態。
強盗男の電話をかけている相手は水商売の女性だ。
部屋に中年男性と若い男が帰ってくる。
当然、状況にびっくりする。
強盗の要求は水商売の女性を連れてくること。
娘を人質に取られているので、急いでその女性のところに向かう。
乗ったタクシーの運転手が偶然にも教え子。空手部出身で、一緒に飲んでいた若い男とは同期らしい。
水商売の女性のマンションにたどりつく。
ヒモの男が暴れだすが、運転手の空手にびびって女性を連れ出すことに成功。
タクシーの中で中年男と水商売の女性が会話する。
強盗の男とは幼馴染。ちょっと前に店で出会う。
男は発達障害でパニックを起こすことがある。そんなこともあって、まともな職に就けていない。でも安月給で一生懸命働いている。
一緒に暮らそうと言われ、女性は深く考えずにいい返事をしたみたい。
気持ちは分かるが、場末のスナックで働く自分とまともな職に就けていない男。そんなダメな二人が一緒になっても仕方がないという気持ちがあるようだ。
それに、ヒモの男を捨てることはできない。
電話に出なかったのはピストルを手に入れた話とか聞いており、何かするのではないかと怖くなっていたかららしい。
一方、マンションでも娘と若い男が会話している。
若い男は結婚して子供もいる。奥さんとうまくいかなかった時期に二人は付き合っていたみたい。
あとはお決まりのパターン。奥さんとよりを戻すので破局。何も残らないのは女性だけ。
中年男が水商売の女性を連れて戻ってくる。
一緒に逃げようという強盗の言葉に対して、答えはもちろんノー。
違う男と付き合ってることを伝え、自首をすすめる。
そんな中、娘がいきなりナイフを手に取り、男を逃がせと言い出す。
約束をしたのなら、一緒に逃げろと言う。
自分のこととオーバーラップしているみたい。
中年男が何かに気づき、若い男を責め始める。
若い男もあなたが娘を大切に思うように、自分も子供が大事だと抵抗する。
事態がぐちゃぐちゃになる中、強盗は大きな声をあげ、もういいと言う。
始めから覚悟はしていたと。
そして、ピストルを取り出しこめかみに。銃声。
時が止まる。舞台上でも本当に動きが止まり、後はゆったりと終局を迎える。
話は少々途中でネタバレしてしまうが、終始緊張感のある舞台だった。
終わりに向かうにつれ、どうひっくり返ってもハッピーエンドにはならないという救いようの無さがあるが、このあたりの感情がすごく伝わってきて、いい作品でした。
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