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2010年9月 1日 (水)

ぼうずがびょうぶにじょうずにおばけのえをかいた【関西小劇場.comプロデュース】100829

2010年08月29日 そとばこまちアトリエ Black Boxx

絶賛。
劇団そとばこまちの通天閣ブルースという作品もすごく好きなので、多分、作・演出の坂田大地さんが好きみたい。

それにしても、ここは演劇作品を見てるんだなあという気持ちにすごくさせてくれる。
最初のシーンとかも、暗転でどんどん切り替わり、映像を見ているみたい。
これから何が始まるんだろうとワクワクさせてからのスタートで素晴らしかった。

夫がふらりと出て行ってしまっているお寺さん。
肝っ玉の据わったお母さんに、ケンカが絶えない姉妹。
貧乏神が居座っており、日々貧しい生活。でも、いつも明るく元気な家族。
近所のちょっとぼけたおばあちゃんがたまにお供え物を持ってきてくれる。

そんな中、修行を積んだお偉いお坊さんがやってくる。
この方、普通の人には見えないものが見える。だから、貧乏神も見える。
今まで、見えないものが見えるがために、嫌な思いをたくさんしており、なるべく関わりたくないみたい。この貧乏寺にやって来たのも、今までを全てリセットできると思ったから。

運命なのか、このお坊さん、関わりたくないと思ってもやはり事件に巻き込まれてしまう。
このお寺に代々伝わる屏風。綺麗な女性が描かれている。
この女性が絵から出てきて、頼み事をされる。
今から1000年も前、絵からふらりと出て行った男を探して欲しいと。女はずっと待ち続けているようだ。

1000年を区切りに、あきらめて神様になる手段もあるようだが、見つかるまで女は待ち続けるつもりみたい。もちろん、次の1000年の間に屏風が壊れたら、この女の存在も消える。

貧乏神がやたらと女のことを気づかう。何とかあきらめさせようとしているみたい。でも意思は固い。
そのために、お坊さんにある取引を持ち出す。
屏風に男の絵を書いて女には屏風の中で幸せに暮らしてもらう。その代わり、自分はこの家を出て行く。そうすれば、寺は繁栄し、お坊さんも役に立てる。
でも、貧乏神は家が破たんする前に出ていくと自らの存在が消えてしまうみたい。
そうまでして、女を救おうとしているのにはある理由があった。

と、これぐらいにしておこう。
このあたりから、ラストに向けてあらゆることが明らかになっていく。ここでは、書いていない色々な伏線も全部つながる。
このスピード感は、そとばこまち独特の物のように感じる。気持ちがいいぐらいに謎解きされて、すごく引きつけられる時間帯だ。
もう一人、よく作・演出をされる鈴木康信さんも同じような展開を使われる。
ちょっと違うのが、この方は最後にどんでん返しを多用して、少しブラックな終わり方をする。
今回の坂田大地さんは、スムーズに優しいハッピーエンドだけど、少し悲しいみたいな終わり方。
もちろん、そんなにお二人の作品を観劇しているわけではないので、分からないが、少なくとも自分が観た作品からは、こんな印象が残っている。

この作品もやはりそんな終わり方だった。
苦悩の末、お坊さんは絵を描かれる。そして、もう一度、自分を見つめる修行に出る。
残された家族は困る。けれども、もう貧乏神はいない。いいことが起こるはず。

DVDが出たら、購入したいな。
とても素敵な作品だった。

目を引いた役者さん。みなさん、魅力的だったのだが、この作品ではやはり貧乏神役の中西邦子さん(劇団925)。
天才的だった。コミカルだけど悲しい運命を背負う貧乏神。人をおちょくったり、寂しく悩んだり、真剣になったり、多くのシーンがあるが、そのどれもが本当に素晴らしい。
アフターショーみたいなもので、客演さんがそれぞれ少し話されたのだが、その時は普通の女性。声まで全然違う。役になりきるとかいうレベルじゃないな。すごい女優さんでした。
この方の他の作品も是非観たい。近々では9/25。ちょっと日程的に厳しいな。
次は11月。これは予定を入れておきたい。

次回も楽しみ。
ちなみに、このそとばこまちのアトリエは芝居用に考えて作られているのか、すごく観劇しやすいです。
スタッフの方々も、劇団の若手の方なのかな。すごく、丁寧で一生懸命で好印象。
たびたびこのブログで書きますが、こういうところは非常に大事。
作品自体を観劇するのを店で料理を食べるみたいなものだとすると、いくらそれがおいしくても、店員の接客に不満があれば、その料理や店を否定的な形で見てしまいますよね。

まだ、3回目ですが、改めてそう思いました。
いつも気分よく、楽しませていただけているので、感謝の気持ちを込めて記しておきます。

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コメント

なかなか面白そうですね

「居酒屋ゆうれい」「憑神」という映画を連想しました

投稿: まこと | 2010年9月 2日 (木) 12時41分

>まことさん
名前は聞いたことがあるけど。
こんな感じなの。それだったら、相当好きだと思うけど。
見てみようかな。でも、時間がなかなか。演劇DVDもたまってるし。

投稿: SAISEI | 2010年9月 2日 (木) 17時34分

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