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2010年9月29日 (水)

そこにあるヒビ/メディアライフ【ステージタイガー】100928

2010年09月28日 インディペンデントシアター1st

初演が2003年の再演版。もちろん、この頃は演劇を観るなど頭の片隅にもなかったので全く知らない。
火曜日のゲキジョウで4回変則的に公演を行っている。今回は2回目。

観終えて、昔からここはすごかったんだなあということと、多才な劇団だと改めて感心。

もう私の中ではお馴染になった名役者さんたちと、同じく火曜日のゲキジョウで公演されている「病的船団」で拝見した役者さん、恐らく初見ではないだろうかと思われる役者さんが入り混じっての劇団の力を見せつけられるような作品だった。

外の世界と隔離されたある都市。周囲は壁に囲まれて、外界からの情報は全て遮断されている。教育的には外の世界は滅亡しており、今住んでいる都市だけが存在していることになっている。

舞台は「病的船団」と同じように、特に何かを組んだりしていない。6脚のイスと役者さん自らが壁となり、密閉空間を作り出す。このあたりのうまさは、最近のこの劇団の公演では頻繁に拝見しているので、特に感動せず、もう当たり前の感覚になってしまった。

そんな都市に住んでいる男とその友達、そして友達の婚約者。3人は昔からの仲良し。
この年では上層部の指令に従って作業するだけの管理された生活をおくっている。

ある日、男は自分の働いている場所から、幾つかの物を発見する。
それは情報伝達に使われる物体であり、この都市が外界と接触していることを示す物。
男は友達を呼び出し、発見した物体がどのような物かを説明して、一緒に逃げだそうと誘う。

テレビ、携帯、のろし、手紙、ラジオ、ネット。
ここから、各メディアに関するエピソードがオムニバス形式で描かれていく。

ただ面白い話、ちょっといい話、現代社会に根付く問題を提起した話と様々だ。

意識して順番を決めているのかは分からないが、最初はその話を観て、ただ笑って楽しくしているだけだが、後半は少し真面目風になっていき、しっかりした話に変わっていく。
そのあたりで、現実の世界では脱出するということに関して男と友達の真剣なやり取りが描かれる。

とてもうまいこと出来ている作品だった。

役者さんは、やっぱり石神禿さんが目を引きすぎる。現実世界での脱出を試みようとする熱い男、エピソード中のおかしな人の切り替えがすごくて、どうしても常に目がいく。
先日、少し拝見して何かオーラのある方だなあと思った石井テル子さんは、やはりここでも存在感がある。
虎本剛さんはよく拝見するが、しっかり役者さんとして観たのは今回が初めてなんじゃないかな。この方が、作・演出をしているのかと思うと不思議な感じだ。おふざけの作品ではなく、社会問題や愛などを深く追及している真面目だけど面白く楽しく見せるような作品を創りあげているようには見えない感じの方だから。不思議な魅力のある方だ。まあ、この劇団の男優さんはそう思わせる方達がそろっている。

他の方達はまだ若トラと呼ばれている方たちなのかな。前回の「病的船団」の記事でコメントをいただいたので、今村こころさんを注目しようと思って観ていたが、失礼ながらどの方かはっきりしない。青かオレンジの服どっちかだとは思うのだが。先日の私生活で友人の結婚パーティーに出席した時も思ったのだが、どうも若い女性がみんな同じ顔に見えるという中年おじさん特有の病気になっているみたいだ。思いっきりはじけた役でもやってもらわないとなかなか覚えないみたい。困ったものだ。
男優さんの梅田脩平さんは、一人語りのシーンが印象的だった。冒頭とラストでこの作品の話を子供に語るという形になっているのだが、視線がまっすぐですごいなと感じた。役者さんにとっては当たり前なのだろうが、意外に見ていると、視線が下にいったり、あごが上がって斜め上になっていたりすることが多い。この方は、まっすぐどっしり構えていらっしゃった。

若いで思い出したが、この公演の開演前は激団しろっとそんの方達による前説。ステージタイガーの魅力を語るとともに、12月に公演があるLINX'Sの宣伝をされていた。
ぽるんさん、しろさん、くろさん。不思議とこの方たちは顔と名前が一致する。3回ぐらい印象に残る形で観たら覚えるみたいだ。
あいかわらず、自分たちの空間を作ってしまってふわふわしていた。いい意味でも悪い意味でも。
ずいぶんかわいらしい恰好で揃えて出演されていたが、何か意味があったのかな。

この劇団は今週末も公演、来週の火曜日もまた公演。劇団として出ずっぱり。12月のLINX'Sにも当然出演されるし。
熱い作品が多いので大変なことでしょうが、客としては嬉しい限り。
今後もご活躍ください。

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演劇」カテゴリの記事

コメント

こんばんは、ステージタイガー今村こころです。
今回も、ご来場ありがとうございます!
感想の中に名前まで入れていただけるとは…。うれしいです。

私は青い服を着ていました。
病的、ボディビルところころと髪型もかえているので、わかりづらかったと思います。
もっと個性を磨きたいものです。

明後日からの「紅の虎」企画には、そこヒビに出演していないメンバーの大半が出演します。
是非、こちらもよろしくお願いいたします!

私も、病的とそこヒビ、各あと2回!がんばります。
ありがとうございました!!

投稿: 今村こころ | 2010年9月29日 (水) 22時44分

こんばんわ!またまたぽるんです☆
またご観劇いただきありがとうございます。

次は・・・あっと言わせます。約束します!
またよろしくお願いします!

投稿: 大牧ぽるん | 2010年9月30日 (木) 00時11分

>今村こころさん
コメントありがとうございます。
やっぱり青服でしたか。
さすがは女優さん。七変化するので見破るのに難儀します(゚ー゚;
今度は注目して観ます。
あと1回ずつぐらいは観に行きたいと思っています。
素敵なお姿、楽しみにしています。

投稿: SAISEI | 2010年9月30日 (木) 10時27分

>大牧ぽるんさん
コメントありがとうございます。
いつも、あっとじゃなくて、えっと言わされているような気がします(*^-^)
ずいぶん、かわいらしい衣装でしたね。ふわふわしたダンスも素敵でした。
しばらくは、前説で借り出されるのかな。
LINX'Sも期待しています。

投稿: SAISEI | 2010年9月30日 (木) 10時31分

携帯バッテリーコードをウサギに噛み切られ少しブログ見るのサボってたらコメント書かれた方がw(゚o゚)w


SAISEIさんのクールな顔がニヤけてるでしょうね

投稿: まこと | 2010年10月 1日 (金) 17時00分

>まことさん
2人とも役者さん。
すごいでしょ。このブログの自慢になります。

えっ、ウサギ本当に飼ったのw(゚o゚)w

投稿: SAISEI | 2010年10月 5日 (火) 11時47分

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