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2010年9月11日 (土)

005「十年」 ☆☆☆☆ 北新地グルメマップ作成の旅

珍しいバーボン専門のバー。本当にバーボンしか置いていない。

001穂の河に昔の会社の上司に連れて行ってもらった後に、バーボン好きな私のために探してくれていた店。

何でも、まだバーボンが日本ではスコッチより下、くさいだけのお酒とかいうレベルで扱われていた頃から、何とか根付かせようと、それこそアメリカ大使館などとも掛け合いながら、頑張ってきたかなり御年配の方がマスターだ。

そして、そのお弟子さんなのか、ちょっといつも焦っているようなユニークなキャラクターのバーテンダーさんがいらっしゃる。

本通りの四ツ橋筋に近いあたりにあります。梅ばちビル1Fですが、ちょっと分かりにくいと思います。

現時点で4回目。初回は元上司と一緒。

カウンターに座ってまず目についたのが、MARTIN MILLS 24年。
今から10年以上前に、町田のある店で出会って、すっかり虜になったバーボン。
芳醇でかなり濃い味わいです。
シングルバレルで長期熟成品。輸入数も少なく、直にもう手に入らなくなりますと言われていました。
それでも当時はネットでちょっとお高い額で購入できたので、2本ほど手に入れた覚えがあります。
それも飲み終わり、もう出会えないと思っていたお酒があったので、迷わず注文。

ここは、必ずダブルで注文になるみたいです。
ダブル分が入る取っ手の付いた小さな専用の容器と空のショットグラスが用意されます。
チェイサーがミルクというのも、よく聞きはするが珍しい。

あとは、大好きなBLANTONを少々。色々種類があるのは知っていましたが、全て揃っているみたいで、並べて見せていただきました。

この時のお代は、おごってもらっているので分かりません。ちらっと見たら、2万円弱だったような。

2回目は一人。

しばらく時間が空いたので、すっかり忘れられていました。
MARTIN MILLSを頼むと、少し思い出してくれたようです。このお酒を知っているのは珍しいとバーテンダーさんも饒舌です。
この店の歴史を知ってもらいたいとなぜか英字新聞の切り抜きを渡されます。
御年配のマスターの苦労話が載っている記事のようです。ただでさえ、英語できないのに、少し酔い気味ではまるで頭に入ってきません。どうですかと聞かれると困るので、回らない頭を頑張らせて、何とか内容を把握して、準備を整えます。しばらくすると、その記事の日本語訳をしたプリントを渡されました。
まあ、だいたい把握した内容は間違ってなかったみたいです。
何か、試験みたいなものなのでしょうか。

バーテンダーさんは他のお客さんの氷を作っているようです。カウンターに氷が2回ほど転がってきました。
そのたびに失礼しましたと言いながら焦っている。文章では表現しにくい。何か、ものすごく変わった独特の方です。

この日は終電の都合で1杯だけ。
他に飲む酒を聞かれたので、最近はまっているREBECCAを伝えます。
やはり、これもいい酒らしい。
新品ボトルが置いてあります。このお酒は開けてからしばらくするとおいしくなるそうです。逆に開けてすぐは全くダメとのこと。
今度来られる時のために、今開けておきましょうと言われ、ボトルを開けます。
そして、少しグラスについでくれました。開けてすぐはおいしくないって言ってたのに・・・。

なぜか客が私一人になっていたので、帰り際に、バーテンダーさんが扉のところまでお見送りしてくれます。
そして、右拳を握りしめて、胸のところに置き、おじぎ。
何か意味のある挨拶の仕方なのでしょうか。例えばバーボンのふるさと、ケンターッキースタイルとか。
その姿が面白くて、今でも自分の中でははやっている挨拶です。

お代は6000円ちょっと。つまり、MARTIN MILLSはダブルでそれぐらいということです。
年代物バーボンと考えると、めちゃくちゃ高い値段ではないように思います。ショットで1万円超えはけっこうありますから。

3回目も一人。

店に入ったら、面白バーテンダーさんが帳簿をつけています。集中しているのか、私に気付かない。
そんなに抜き足差し足で入ったわけではないんですけどね。
すいません、いいですかと言うと、あわてふためいて、「あっ、はい、MARTIN MILLS、大丈夫です、ございます、はい」みたいな感じ。
高いから頼む気なかったのに、仕方が無くMARTIN MILLSを飲むはめに。

それでも、ばっちり接客したぜみたいに嬉しそうにしていらっしゃるので、まあいいか。

この日は私に次のバーボンを用意していてくれていたみたいです。
MICHTER'S。初めて聞くお酒です。アメリカ最古の蒸留所として知られているようです。

早速、頼みます。
新品のボトルを開けると、見事にコルクが折れました。
お決まりの失礼しましたの言葉とともに、何やらボトルキャップを並べています。
サイズが幾つもあり、こんな場合でも大丈夫だそうです。お客様が帰った後に、ろ過をして、またボトルに戻し、新しいボトルキャップで栓をするので大丈夫だと盛んに言われています。
そして、いつもどおりにダブルで用意してくださいました。
あれっ、今日はろ過しないんだね。

ちなみに、このMICHTER'S、絶品です。もしかしたら、一番好きなお酒になるかもしれないぐらい。
何かバタバタした面白バーテンダーさんですが、さすがお酒の知識は相当なもののようです。

この日のお代は、また6000円ちょっと。MICHTER'Sの分は入って無いのかな。

4回目は、お友達を連れていきます。

店の前にちょうどあの面白バーテンダーさんが立っていらっしゃいました。
私と目が合うなり、あっ、はい、どうぞ、ちょうどお客さんが終電で帰られたところです、はい」みたいな、いつもの感じ。
連れには面白い人がいることをあらかじめ話していましたが、バーテンダーでそんな焦る人はいないとちょっと疑っていたようですが、これですぐに信じてもらえるぐらいの慌てふためきようでした。

連れが今日お誕生日だと告げると、最高の赤ワインをプレゼントすると言われます。
アメリカ大使館から仕入れた貴重なワインで銘柄は教えられないとのこと。ボトルも見せてもらえず。大丈夫だろうけど、怪しいなあ。まあ、どう考えても悪い事するような方では無いですけどね。

私はMICHTER'S。相変わらず、うまい。
ダブルのグラスやボトルを見たら、コルクがプカプカ。この前ろ過するって言ってたけど、してないね。

少しつまみをと言うと、一期一会なので、最高のものを用意するとのこと。
一期一会って、さっき連れがこれからもバーボン勉強させてもらいに寄らせてくださいって挨拶したばっかりなのに。
そして出てきた料理が3品。一期一会なら1品だろ・・・。

この日は、後はもう面白バーテンダーさんの独断場。終電後で客が一人もいなかったので存分に相手してもらえます。何か焦って、身振り手振りをオーバーアクションでする仕草はちょっとしたプロの喜劇役者のようです。カウンター向こうで一人芝居をしているといった感じでしょうか。
心の中で、本当は2人っきりで少しいい感じで話したかったのに・・・と思いながらも、連れは笑いを噛み殺しながら楽しんでいるようなのでまあ良しとします。店の選択を間違ったと言えば、間違ったということです。まさか、ここまで、空気を読まない変わった方だとは思わなかった。関西No.1の面白バーテンダーの称号を捧げたいと思います。

Dscn0848

バーテンダーさんが話してくれた中の一つ。
ロッキーの原版ボトル。アメリカ大使館の人も欲しがったけど、お断りしたそうです。
ボトルの裏にはロッキーの全成績が載っています。
とても強かったロッキーは、イタリアマフィアに賭けで儲けたいから負けろと指示されますが、イタリアの子供たちの誇りのためにもそんなことはしないとかたくなに拒否します。
だったら、リング上でお前を殺すと言われても動じなかったそうです。
恥をかかされたマフィアは、ある対戦で、相手が鉛をグラブに仕込み、ロッキーを再起不能にしようとします。
さすがのロッキーもこれにはかないませんが、決して倒れずファイティングポーズを取り続けたそうです。
こんな話をカウンター向こうで、バーテンダーさんが実際にセリフ、アクション付きで語ってくれました。

Dscn0853

こちらも話の中の一つ。
戦場で195cmの大男の兵士がブーツの中に入っていた5cmのサソリにやられた時に、ヘルメットでサソリを閉じ込め、その写真を撮影した戦場カメラマンをモチーフにしているそうです。
ボトルの裏側の下に注ぎ口があります。

あとは、ご自分がふられた時の話、阪神大震災の苦労話、FOUR ROSESのビッグボトル・・・。
あっという間の2時間。
これだけ書くと単に面白い人みたいですが、お酒を本当に愛しているのは確かなようです。
それが男のロマンという言葉が頻繁に出てきます。

もう既に飲んできたので、この日はこの1杯だけ。
また、次回行けば次のお酒を用意してくれていることでしょう。

ちなみにお代は7000円ちょっと。
値段設定がよく分かりませんが、損した気分にだけは決してならない店なのは間違いありません。

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コメント

私のツレにも常にあたふたしてる人がいますよ


お値段はサービスでしょう

投稿: まこと | 2010年9月12日 (日) 16時42分

>まことさん
対決させてみたいな。
うちが勝つ自信はあるよ。
サービスじゃなくて、ミスってるんじゃないかと思ってきたよ。

投稿: SAISEI | 2010年9月13日 (月) 15時35分

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