電車は血で走る【劇団鹿殺し】100623
2010年06月23日 東京芸術劇場 小ホール
泊まりの東京出張だったので、ちょっと行ってみました。
劇団10周年記念のロングラン公演なので興味はあったのですが、東京までわざわざ行く余裕は無いし、この作品はDVDで拝見しているので、観劇する気などさらさら無かったのですが、うまくタイミングが合ったものです。
感想は、とにかく見に行って良かった。作品内容うんぬんより、10年の歳月でこの劇団がつけた力が舞台に強く表れていて、圧倒されました。
劇団の持つパワーをここまで力強く感じさせられる公演はなかなかありません。
ただただ感動の一言。
(以下、一応ネタバレ注意。公演は7/4まで続きます。少々、話の筋が分かったからといって、魅力が落ちるような作品・公演では無いのでまあ大丈夫だとは思いますが、一応。)
舞台は大阪で、阪急電車がキーワードになっています。地名なども関西在住の私にとってはなじみ深いもの。
あのがらの悪い町、庄内にある工務店のお話です。東京の人は分かるのかな。これを見て、大阪来たときに、本当に庄内に寄ったらびっくりするだろうな。大阪の濃厚な味は感じられるでしょうけど。
工務店で働くもういい加減大人の職人仲間たち。小さい頃からの夢である演劇をいまだ仕事の傍ら続けており、客など集まらないけど、独特のロック歌劇、宝塚奇人歌劇団として活動しています。
ある日、工務店の社長が事故で亡くなります。今までとは違う環境になり、ついに歌劇団は解散。参列者から大きなひんしゅくを浴びながらも、葬式に解散公演を行い、全員工務店の職人に戻っていきます。
そんな中、現れた1人の少女。それは職人仲間たちの同級生。なぜか20年前と同じ姿。電車が大好きで運転手になることを夢見ていた子でした。電車に乗ってやってきたみたいです。
この日から、過去を振り返りながら、自分たちの夢を再確認しつつ、再結成に向けた動きが始まります。
職人仲間たちは、才能の限界、裏切りなど厳しい現実を目の当たりしながらも、かつて一緒に夢を追った少女に力をもらいながら、自分たちの理想をもう一度追い求め始めます。
少女はこの姿を取り戻してもらうためにやってきたようです。亡くなった工務店の社長の血で走る電車に乗って。
当日パンフレットによると、劇団のこれまでのことを描いた要素も入っているみたいです。作品中には実際にあった事件なども盛り込まれており、ドキュメンタリー的なものに仕上がっています。
10周年という節目にふさわしい作品として選ばれたのでしょう。
関西で旗揚げ、5年目で東京に拠点を移し、今、これだけのすばらしい公演をしている。これからも、もっともっと強い劇団となっていくことと思われます。
残りの公演も最高のものを魅せて、ご活躍されることを祈っています。
大きくなってもずっと応援し続けたい劇団です。
それにしても、東京芸術劇場は広く、舞台も見やすかった。それに照明や音響が素人目で見てもすごくそろっていて、色々な仕掛けも出来るようでした。関西で普段行く比較的大きな劇場、ABCホールやHEPホールにしても、及んでいないなという感じです。
何をもって盛り上がっているとかいう判断をするのかは難しいところですが、関西は本当にまだまだなんだなあという気持ちになりました。
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コメント
フィクションでありノンフィクションであったのですね
私はいつの時代の初心を思い出させてくれる人が来るのかなぁ
投稿: まこと | 2010年6月25日 (金) 18時44分
>まことさん
私はとりあえず2年ほど前の初心を取り戻したいですけどね。
誰が来てくれれば、思い出せるかなあ。
投稿: SAISEI | 2010年6月26日 (土) 11時16分