ピートの箱【egoーrock】100530
2010年05月30日 中津ミノヤホール
劇団として3回目の観劇。
ここは何か苦悩とか不安とかマイナス感情が見終わった後、残るんですね。前回もそうだったけど、今回も。でも今までよりはましだったかな。
だから悪いというわけではなく、私の持つこの劇団の作品の感じるところがということです。
作品自体はよく出来ています。
今回はダンサーさんやピアノ生演奏も入り、空想世界の雰囲気を高めていました。
主人公は歌手を目指す女性。歌が大好き。心をこめて歌い、実力も相当なものですが、なかなかデビューできません。緊張したり、控えめな性格が災いしているのかもしれません。
ある日、オーディションの最終選考を受けます。メンバーは会社員で歌手を目指す男性と歌手をずっと目指してきた裏表のあるアイドルっぽい女性と主人公。
アイドルっぽい女の子は優等生発言と色仕掛けで見事プロデューサーのハートを掴みます。
男性はこれが最後のチャンスだと決意していたのであきらめます。でも、主人公はあきらめることはできません。
落ち込む女性。部屋にお友達の男性が訪ねてきます。恋愛感情を持っているので、女性を励ましますが、あまり相手にしてもらえません。そこで、道でもらったあるチラシを渡します。「ピートの箱」。このお店に行ってみることにします。
行った先には謎めいた男性ピートとその助手の女の子。この店は箱を作っています。そして、その箱には各々の世界があるというのです。試しに開けてみると・・・。そこは現実とは違う自分の思い描いていた世界が広がります。
2人はまだ訳が分かりませんが、箱の存在は信じて現実世界に戻ります。
男性はそれからもその店に通いつめているみたいです。どうやらその箱の中身は、自分に都合にいい世界。恋愛感情を持つ主人公が自分に対して好意を持ってくれてエロチックな幸せな世界のようです。
一方、主人公には現実世界であるチャンスが訪れます。オーディションで合格したアイドルっぽい女性のデビュー曲のコーラスの依頼があったのです。レコーディング。少しでもこのチャンスを思い、張り切りますが、アイドルっぽい女性の執拗ないじめにあって、レコーディングから逃げ出してしまいます。
ピートの箱の店へ。そこで男性のように自分の都合のよい世界を体験することになります。
そこでは、自分が歌手になっています。アイドルっぽい女性がコーラスに。逆転した世界です。レコーディング。気づくと、自分もその女性と同じように厳しい言葉を投げかけていました。そこで少し理解します。デビュー曲を少しでも良くしたい気持ちが、自分をイライラさせ、厳しくなってしまうことを。あの時の女性もいじめの感情はあったものの、それだけではない様に考え始めます。
現実世界に戻り、謝罪を繰り返しますが結局認めてもらえず。そういう甘さがあるから、絶対、歌手になれないとい宣言されて、ひどく落ち込み自殺を考えます。
そこにピートが現れます。ある箱を渡され、開けてみると・・・。コンサート会場。盛大な拍手の中で歌う主人公。ピートは話します。現実世界とは何のことを言っているのかと。この歌手になった箱が現実世界でもいいのではないのかと。今、生きている世界も結局はある箱の世界。そこでは絶対に歌手になれない。そう作られている。だから、この箱の中で生きることにすればいいと。このまま箱の中にいればいい。
頭が混乱する主人公。
一度頭を冷やすために現実世界に戻ります。
男性が現れます。自殺を心配して追いかけてきたみたいです。
主人公はこの世界では歌手になれないことを告げますが、歌が好きで頑張る女性が好きで、そういう気持ちが大切なはずだという言葉を男性からもらいます。おかしな世界へ行って、欲望のままに楽しんでいた男性ですが、女性を思う気持ちは大きいようです。
ピートの箱の店へ。箱を渡すピート。それを拒絶します。驚くピート。女性は言います。
世界はあなたが作ったもので、たとえその世界では歌手になれなくとも、歌が好きでそれを聞いてくれる人に心を伝えたいとう気持ちは自分のもの。自分はそれを大切にしてこの世界で頑張っていくと。
立ち去るピート。店はもう必要ないので閉めてしまうようです。もう2度と会うことはないでしょう。
お別れにと最後のピートの頼み。歌を聞かせてくれ。
歌い始める女性。心のこもった素敵な歌声。この歌声をもっと多くの人が聞くような世界に変わるかもしれません。
ちょっと勝手に私の感情も入ってしまっていますが、大体こんな感じ。箱の世界に移るときにダンサーさんが現れて、空想世界をよりイメージさせやすくするようになっています。
役者さんはego-rockの方々はとても特徴的な方々です。芝居の特徴はもちろん、外観も。
劇団員ではないみたいですが、この作品では終始登場する松原千心さん。1時間50分の間に、最初の自信なさげな状況から、箱の世界を経験する中で強い自分になっていかないといけないので大変だったと思います。ラストは心を最大限こめた歌で終わりますし。なかなかの女優さんだなと思いました。
ちょっと男優さんの一部には、偉そうなことを書きたいのですが、まあ控えておきます。この文章で、演技に対してあまり満足が得られなかったととらえて下さい。
あと、ステージが小さいので仕方がありませんが、ピアノ生演奏なら弾き手が弾く姿は見たかったです。後ろの方で弾いているだけだったので、ピアノ自体に隠れていつ弾いているのかとかが全く分かりませんでした。
次回は、7月に最近観劇した激団しろっとそんとの対決企画ですね。雰囲気が真逆の2劇団の公演はとても楽しみです。
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コメント
観劇なさってたんですね
私も観劇してかなり緊張しましたw
七月がどうなるか・・・・今から楽しみです
投稿: 大牧ぽるん | 2010年6月 1日 (火) 17時01分
すこしピートの箱が欲しいと思いました
たまに、すごくこの環境に疲れてしまう時があります。
夢でもいいから自分が本当に歩んで見たかった世界に入ってみたい

ちょっと面白そう
投稿: MIO | 2010年6月 2日 (水) 00時15分
>大牧ぽるんさん
あっ、団長がまた見に来てくれている。
ありがとうございます。
敵情視察ですか(*^-^)
ここも素敵な劇団ですからね~。食われないようにしないと。
7月はいい劇団、2つまとめて観れるので、楽しみにしています。
投稿: SAISEI | 2010年6月 2日 (水) 00時25分
>MIOさん
ピートの箱はみんな持ってるんだよ。
そこに入るのを恐れているだけで。
・・・と、正論めいたことを書いてみた(^-^;
どこかで分岐点があったんだよね。
その時、こちらを選んでしまったというよりは、必然的にそうなってしまったという感じが強いけど。
投稿: SAISEI | 2010年6月 2日 (水) 00時30分