プランクトンの踊り場【イキウメ】100526
2010年05月26日 HEP HALL
こんなことよく考えるなあという作品でした。
話が進むにつれて謎が明らかになっていき、ずっと目が離せない状態でした。
(以下、ネタバレ注意。公演は今週日曜日まで続きます)
あらすじは、書くと分かりにくくなるんだろうな。
料理屋を開く予定のある部屋。
でも、色々とトラブルがあって開店できません。不動産屋と店長が悩んでいます。
あったはずの物が無くなったり、移動していたりするのは序の口。ついには料理人がある事件で気がおかしくなってしまいます。
どうも何かの力が宿っている部屋のようです。
その部屋に女性が駆け込んできます。自分の別れた夫がこの部屋に入ったというのです。夫とは1ヶ月前に別れており、夫は東京にいるはず。女性の実家があるこの町に来て、連れ戻しに来たのかもしれないと思ったようです。でも、そんな男性は入ってきていません。追い返そうとする不動産屋と店長。
ところが、男性が出てきました。いつの間に入ってきたのか分かりません。でも確かに男はいました。
その男、記憶喪失のようで、なぜここに来たのかを覚えていません。女性のことはよく覚えているみたいですが、どんな仕事をしていたのかとかが全く分からないようです。
とりあえず、女性の兄がいる実家に住まわせることにします。
とんでもない事実が発覚します。男性の会社に電話をすると、上司は、今、その男性は会社にいると言うのです。嘘をついているわけではないようです。ドッペンゲルガー現象でしょうか。
そして、その会社にいる男性も一部記憶が欠けているようです。
色々とあるのですが、それは省略します。結局分かったことは、あの部屋が怪しいということ。
その部屋はどうも思い込んだことを現実化してしまうようです。例えば、全く疑っていない人に、その部屋で空箱にシュークリームが入っているから食べてと言って差し出すと、箱の中にはシュークリームが出てくるようです。
店長から料理人の気がおかしくなった事件について語られます。
店長は料理人とケンカしました。怒って出て行く料理人。夜中、店長が部屋に戻ると、トイレの電気がついています。戻ってきてくれたのかと思い、外から謝り、また一緒にやろうと言うとトイレから料理人が出てきます。
また、一緒に働き始めます。
ところが、ある日、料理人から電話がかかります。会って欲しいと。店に来る料理人。でもその料理人は店長のことを覚えていません。記憶喪失になって、他の人から色々聞き出した結果、ここで働いていたことを教えてもらい、店長に会えば何か思い出すと思ったようです。どうも、トイレから出てきた料理人とは別人のようです。
そこに、もう一人の料理人が入ってきます。
会わすとまずいことが起こるような気がした店長は必死に会わさないようにしますが、無理でした。
出会った二人は、一つになりましたが、気がおかしくなってしまったということです。
考えられるからくり。この部屋は思い込みを現実化する。それは人間すら作り出すようです。
作られた人間はあくまでその人が持っている情報を基に作られます。そして、その人間が作られた瞬間、本物のその人からその記憶が抜けてしまうようです。
つまり、女性がこの部屋で自分の夫がいると思い込んだので、夫が作られた。その夫は女性が知る夫。仕事などのことは知りませんからその記憶は全くありません。また、女性と出会う前の記憶も当然持っていません。そして、本物の夫からは、その部分の記憶が抜けてしまったということです。
要は二人を合わせれば元に戻るのですが、料理人の例から気がおかしくなってしまう可能性があります。
気がおかしくなる理由。恐らく、2人に別れた後、少なくとも数日間はそれぞれが違う経験を持ちます。本当ならあり得ない違う世界での出来事がそれぞれの人間に情報として入ってしまいます。それが融合するので、パニックを起こしてしまうようです。
そこで考えられた作戦。女性が作りだした夫と初めて会って、この数日間の夫の情報しか持たない人にもう1人の夫を作らせます。その作りだされた夫はこの数日間の記憶しか持たない人間です。そして、その時女性が作りだした夫からはこの数日間の記憶が無くなるはずです。
そうしておいて、本物の夫と出会わせる。そうすればパニックは起こらないはず。
実家にいる家政婦がその役割を担います。そして、思惑通り、数日間の記憶しか持たない夫が出来上がりました。それを監禁して、残りの2人を出会わせます。
実験は成功。全ての記憶が戻った男は、もう一度やり直したいと女性に言いますが、女性はそれを受け入れません。自分が夫のことを何も知らなかったことが分かったからです。
問題は新しく出来上がった3人目の夫。人間の形をしていますが、情報の塊なだけ。消してしまうことを考えますが、そうもいきません。消す方法は1つだけ。夫のことを忘れてしまうこと。
エピローグ。部屋は取り壊されて空き地になっています。そこに社を建てて、お参りする女性。
夫とはきちんと別れて新たな人生を進むことを決意したみたいです。
分かりにくいですかね。
単なるドッペンゲルガーにしないでうまく考えたなと思いました。
深刻な問題を謎解きをしながら話を進めますが、会話や行動は冗談めかしたものが多く、楽しく謎解きに参加しているような感じでとても面白い作品でした。
私は初見ですが、人気劇団みたいで前売りは完売でした。当日券だったのでどうしようか迷っていたのですが、観に行って良かったです。
| 固定リンク
「演劇」カテゴリの記事
- 【決定】2016年 観劇作品ベスト10 その3(2016.12.31)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その2(2016.12.30)
- 2016年度 観劇作品ベスト10 その1(2016.12.30)
- メビウス【劇団ショウダウン】161209(2016.12.09)
- イヤホンマン【ピンク地底人】161130(2016.12.01)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
充分つたわりましたよ
とても興味深い作品ですね
あたしもぜひみたいですっ
投稿: MIO | 2010年5月29日 (土) 15時42分
>MIOさん
伝わった?
自画自賛だけど、少しうまく書けるようになったと思わない?
練習の成果だね。
DVD、出たら買います。
投稿: SAISEI | 2010年5月30日 (日) 03時13分