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2010年4月27日 (火)

決戦!!ひなた荘「Ghost vs Busters」【お~い! 久馬(ザ・プラン9)×劇団赤鬼】100425

2010年04月25日 ABCホール

開館2周年のABCホールプロデュース作品です。
2年って、けっこう歴史が浅い。私が観劇し始めたのが、1年ちょっと前なので、演劇に関してはほぼ同い年だったとは。京阪沿線住まいなので、アクセスが良くて、便利な劇場。今後も益々、発展して欲しいです。

作品はザ・プラン9のお~い! 久馬さんと劇団赤鬼が、ひとつの物語をそれぞれ反対の視点から描くという一風変わったもの。こういう趣向をこらした作品は、物語を作るのってすごいなと純粋に思えるので、大好きです。

早くから予約していたからか、席も最前列で、とっても楽しめました。昨日のKOKIAのライブから、もういい事ばっかり続いている。

舞台は20年前に火事によって廃墟になったひなた荘。
そこに住み着くGhostとそれを退治するBustersの戦いを、各々の側から描きます。
まずは、Ghost側からの物語。お~い! 久馬さんの脚本です。

住み着くGhostは20年前の火事で亡くなった人たち。
201号室の夫婦。娘を事故で亡くして、心中を図りました。
202号室には悲しみで覆われた美少女。弟がいたようです。
203号室には売れない漫画家。師匠を亡くして、そこに住んでいます。隣の弟に漫画をプレゼントする約束をしていたようです。
それらの人たちに加えて、火事で美少女を救おうとして助けることができずに燃えてしまった青年、最後まで素性が明らかにされない謎の男、浮浪者のような男。

ここでは、いきなり各部屋の人たちの素性を書いてしまっていますが、実際は舞台が現在と20年前を交互に行き交い、徐々にそれが明らかになっていく仕掛けです。

ある日、Bustersがやってきます。
頼りない教授率いる科学チームの3人組、車椅子の霊媒師とその弟子、神父、そしてライターです。

戦いの始まりです。個性あふれるBusters達の攻撃に対抗するGhost達。でも、本当はGhostは戦う気は無く、ひなた荘がつぶれそうで危ないから追い出そうとしているだけみたいです。

途中で20年間一緒にGhostと暮らしていた浮浪者のような男が実は生きている人間だったり、教授が仮死状態に陥り、Ghostの仲間になったりと予想していない展開になりながら、ドタバタが起こります。

Bustersたちの目的は、Ghostを成仏させること。なぜ、成仏できないのかも明らかになっていきます。

火事の原因が自分のせいだと思っているのです。
夫婦は自分たちの練炭自殺が、美少女は弟の誕生日パーティーのろうそくが、漫画家は師匠を弔う線香が、謎の男はタバコが原因だと思っています。美少女は自分だけ助かったと弟がつらく生きていることも気になっています。そして、青年は助けてあげることのできなかった美少女が成仏すればと思っています。

やがて、火事の原因は自分だけのせいではないことが分かり始めます。
美少女は、自分だけ助かった弟がBustersの中にいることを知り、気にしないで生きろと伝えることで成仏します。続いて、漫画家や青年たちも。
でも、夫婦は成仏しません。娘が事故で亡くなったことが嘘だからです。子供のできない夫婦は誘拐した子供を連れて逃げ帰る途中に事故を起こして子供を死なせたのです。そして、その子供は、浮浪者のような男の子供だったのです。事実を知り、自分の手で殺したかったとつぶやいて、ひなた荘を後にします。20年間、一緒に暮らしたGhostの中に捜し求めていた犯人がいたとは思いもよらなかったのでしょう。もう、死んでしまったGhost相手には何もできません。

そこで崩れ落ちるひなた荘。戦いでバタバタしたので、ついに崩れ始めたのです。天井からがれきがBustersに向かって落ちてきます。覆いかぶさる夫婦。

Bustersたちは助かったようです。夫婦もいません。どうなったのか分かりません。

これでエンド。

と思いましたが、過去、お~い久馬さんの作品を幾つか拝見しており、これでは終わらないはずとも思っていました。

予想どおり、これで終わりではありませんでした。

舞台に一人だけはっきり素性が明らかにされていない謎の男が電話をしています。病的な笑い顔で女性と何やら話しています。その部屋の住人の電話を使って。住人はその女性。
「警察を呼ぶ」とか言われながらも、「何が悪いのか」と繰り返す男。「君のためなら何でもする」との言葉に、女性は「死ね」。フラフラと歩く、男の手には灯油。灯油がまかれた部屋で、男がタバコを吸うためにライターをつけます。

これで本当に終わり。ぞっとしました。謎の男は、劇団赤鬼のベテラン男優、原敏一さん。気味の悪さを、短い時間で演じられ、これまで悲しいエピソードがあったとはいえ、ドタバタコメディーで進んだ話を一掃してしまいました。見事な演技力。圧巻。

目を引いた役者さん。劇団赤鬼はこれまでも書いているので、せっかくなので違う方を。

ABCアナウンス部の上田剛彦さん。青年役です。さわやかで人のいい感じを出されていました。本当にアナウンサーなのかなと思うぐらい、違和感なし。しゃべることは役者さん以上にお手の物でしょうから、いい演技をされれば、これは驚異的な存在なのではないでしょうか。

span!のお二人。吉本の漫才師みたいです。失礼ながらまったく知りませんでした。夫婦の夫役とBustersの科学チームの一員です。まあ、漫才やコントも表現するという点では同じなのでしょうから、当然かもしれませんがこれも違和感が無い。さすが、お笑いの方だけあって、つっこみのようなセリフはとっても面白かったです。

普通に考えれば、似て非なるものの組み合わせですが、とてもすばらしいジョイントだったように思います。お笑いや演劇を積極的に応援しているABCホールプロデュースにふさわしい作品だったように感じます。

もちろん、次はBusters側からの物語。これは次の記事で。
今、その公演までの待ち時間にこの記事を書いているところです。両側から見ると、色々な謎が浮かびあがる仕掛けらしく楽しみです。そろそろ、会場に戻ります。

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コメント

おひさしぶしなカキコッ★

これは、あたしも見たかったなぁ~(◎´∀`)ノ

最後の終わり方はかなり読み返しましたけど、

『ゾッ』っとしますねΣ(゚д゚;)

プラン9ってだけで惹かれるのに、劇団とコラボ

なんて120%いいに決まってますね~www

投稿: mio | 2010年5月 3日 (月) 17時45分

>mioさん
うまく練られた面白い作品だったんだけどね。
残念ながらDVDは出ないので、私の頼りない残った記憶でしか魅力を伝えられないのが残念です。
最近、プラン9の方々はけっこう至る劇場で演劇されてますよ。

投稿: SAISEI | 2010年5月 4日 (火) 15時33分

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