<DVD>ようこそミスターチェリーブロッサム【Atelier THANK-X】
先日、劇団ガバメンツ×Limited Spiceの公演を拝見した時に、客演されていた村上泰子さんが何となく気になって、所属劇団の公演も面白いのではないかとひらめいて購入したDVD。
(http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/one_plate-comed.html)
結果は大成功でしたね。この直感。たいしたものです。
この劇団は歌やダンスを相当取り入れるみたいです。DVDなので迫力半減なのが残念ですが、舞台も観に行きたい気持ちにさせられました。
この作品のストーリーがすごく好きだったのもいい印象を受けた一つだと思います。
感じとしては私の大好きな作家、重松清の流星ワゴンという小説に似た雰囲気でした。
舞台は小高い丘の上にある一本の桜の木の下。
主人公の男。子供が出来ないことで妻とうまくいっていません。最近では、一緒に食事したり話すことも少なくなり、別れることも考えているようです。
そんな男の父がもうすぐ亡くなろうとしています。
病院へ駆けつける男。わずか自宅から2時間でいける距離なのにこれまでほとんど見舞いに行っていません。父のことがあまり好きではなかったのです。
病院に向かう途中、懐かしい桜の木。父はいつも大丈夫、大丈夫とこの木に向かってつぶやいていました。青春時代の嬉しい事、悲しい事を全部、一緒に過ごしてきた木です。
ふと木を見ると、見知らぬ女性が。その女性に言われて、彼は行くべき所へ行く旅に出発します。
気づいたら、何やら古い時代へ。そこで、小学生時代の自分に出会います。そして父、母、姉とも。彼は、そこではツキヤマという名のおじさんになっているようです。そして、それを皮切りにこれまでの至る時代にタイムスリップしていきます。
父が参観日にかっぽう衣を着てきた理由を知ったり、父がせっかく買ってくれたグローブを拒否して野球部ではなくサッカー部に入った時の父の気持ちを聞くことができたりします。
母の病状が悪化して最後の入院となる前日、一時外出許可をもらった母が全てを姉に託した日、父に呼び出され母がもう長くないことを告げられた死の1週間前。桜の木がいつも満開の時でした。
不良時代。姉さんも暴走族の総長になっているが、自分のことを一番心配してくれていた頃。幼馴染の彼女と別れた日。
姉さんと最後に会う日になる19才の桜が咲く頃、そして、事故で亡くなる姉の最期。
30才を越えた皆の集まり。同級生はみんな子供を持ち、幼馴染の彼女も二人の子持ち。子供がいないことで悩んだ日々。父の入院。
過去は変えることができず、これまで経験したことが全てよみがえってきます。でも、その時、知ろうとせずに逃げ出して分からなかった父、母、姉の気持ちが、分かってきます。
今の自分がしなくてはいけないこと、そして行かなくてはいけない所。
時が戻ります。
桜の木の下に父の姿が。ここに来るだろうと思って待っていたと言う父。話す言葉はやっぱり口癖だった大丈夫、大丈夫。でも、今の彼には父の言葉の奥に潜む愛情がしっかり理解できます。ずっと、これに目をそむけて来ていた自分のことも分かりました。そして、今、自分のことを思ってくれている妻の気持ちにも逃げていたことを理解しています。
父とキャッチボールを始めます。グローブは桜の木の下の女性が持っていました。昔、預かっていたものがあると。
そのキャッチボールが終わり、木の下に座り込む父。彼の携帯に電話が。父が亡くなったとの妻からの知らせ。大丈夫、自分も間に合ったからと答える彼。
彼が次にすることは、妻に謝ること。そして、今度こそ逃げ出さずに頑張ることを伝えることです。
そう伝えた時に、冗談めかしながらも真剣に分かったと答える妻。妻からも言いたいことがあるみたいです。
きっとそれは待ちに待った満開の桜の木の下で伝えるのにふさわしいことでしょう。
あらすじはこんな感じ。
ありがちなタイムスリップに、絵にかいたようなハッピーエンド。でも、素晴らしかった。
こういう話は小説でもきっと好きになると思うのですが、舞台化することによって、歌や踊りの迫力が加わったり、役者さんの表情が心に響いたりして非常に良かったです。
いい劇団をまた一つ見つけました。本公演も観てみたいものです。
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コメント
桜の木の下で妻が告げる言葉は1つですね(o^-^o)
文章読んでるだけで、とても魅力的な作品だなっと
感じました★
とってもハートフルな作品だったようですねっ♪
投稿: mio | 2010年5月 3日 (月) 18時02分
>mioさん
ここはしばらくはまります。
ダンスがすごいんだよ。舞台で見たら最高だろうね。
劇団のメールしてDVD取り寄せようとしてるんだけど、連絡来ないんだけど。
早く見たい。
投稿: SAISEI | 2010年5月 4日 (火) 15時42分