「さかな」【ほどよし合衆国】100411

2010年04月11日　芸術創造館

昨年12月からずっと続く、芸術創造館にハズレなしは健在。

初回公演に続いて、今回も観劇。初回公演は、暇つぶし感覚で行って、あまりの出来の良さに圧倒されたのですが、今回は始めから期待して行きました。気合いが入りすぎだったのか、整理券が1番でした。

今回も非常にしっかりまとまった作品でした。ネタはちょっとありがちなところがありますが、優しいオチのつけ方は、まさにこの劇団ならではと感じます。

舞台はマンションの一室。熱帯魚の水槽があります（本当に設置されていました）。
ペットショップで働く、少し暗い感じの友達の少ない男の子の部屋です。ペットショップはおばさんのお店で、訳あってそこで働いているようです。今どきの女の子の後輩もいます。
最近、ペットショップの客である女の子と付き合い始め、二人で旅行に行く計画を立てています。マンションにはいつも勝手に入ってくる管理人や新興宗教にはまっている隣人がおり、今日も、この人たちに振り回されています。そんな中、女の子から旅行にはOKをもらうものの、用事が出来たらしく帰ってしまい、今日のデートは中止です。

その夜、ちょっとドジな女泥棒が家に入り込みます。すぐに見つかってしまいますが、母の形見の大事な指輪を部屋で無くしたので、それが出てくるまで警察には連絡をしないでくれと頼まれ、それを了承します。この泥棒、男に惚れてしまい、それからなかなか帰ろうとしません。夜には帰りますが、毎日部屋にやってくるという状態です。

旅行に行くためには1つ条件があります。旅行の間、魚の世話を誰かにお願いしないといけないのです。お願いしている唯一の友人が彼女を連れて下見に来ますが、彼女は帰ってしまいます。この部屋には自縛霊の親子もいるのです。男には普通に見えており、家賃も安くなっているので納得しているのですが、友達には見えないようです。霊感の強い彼女にはそれが見えたみたいで、驚いて帰ってしまったのです。魚の世話の話はまた検討するということで約束までこぎつけませんでした。

ある日、男に何か発作が起こります。発作は治まりますが、何かおかしな様子です。
友達がやってきます。この前連れてきた彼女は恐がって付いてこなかったみたいです。唯一の友達である彼は本当にいい人です。男も本当の友達として信頼しているようです。こういういい人としか、男は友達付き合いできない人間なのです。幽霊は怖いけど、魚の世話はしてくれることになりました。これで、女の子と旅行に行けます。感謝の気持ちとともに、あることを友達に伝える決心をします。これまでずっと秘密にしていたことです。

そこに女の子が近くに来ているので、部屋に寄るとの電話が入りました。友達に紹介することができます。チャイムが鳴ります。女泥棒です。表裏なくずけずけと男の生活に入り込むようになっていますが、今日はまずいということで、追い払います。また、チャイムが。今度は女の子。素敵な女の子として友達に紹介し、友達はお邪魔ということで気をきかせて帰ります。大事なことを伝えることは出来ませんでした。

女の子と旅行の話で盛り上がる中、女の子の携帯が鳴ります。ひそひそ話をする女の子。そこでまた発作が。電話の声とともに、女の子の心の声が聞こえてきます。男の大事な秘密とは、人の心を読めてしまうということだったのです。だから、人とあまり接することが出来ず、友達も少なかったのです。女の子の心の声は残念なものでした。要は遊ばれていただけだったのです。心の声を次々と読み、それを女の子に伝える男。不安がる女の子に、秘密を告白します。おびえて出ていく女の子。これで、もう全て終わりです。

悲しみでひどく落ち込む男。そこに、しつこく女泥棒がまた入ってきます。いらだちを隠せず、女泥棒の心の声を読み取り、女の子にしたようにそれを伝えていきます。そして、これまた同じように、秘密を告白します。
告白された女泥棒は・・・。

長くなりましたが、あらすじはこんな感じです。サトラレみたいな感じですかね。

最後はもちろんハッピーエンドですが、ちょっと尻切れトンボっぽい形です。でも、それくらいの終わり方の方が、逆に優しい感じの作品になっていいのかもしれません。個人的には、終わり方がすごくかわいらしくて大好きです。

役者さんは前回公演にも出演されていたのでしょうが、まだ名前と顔が一致するには至っていません。皆さん、フレッシュという言葉がぴったりです。前回公演の時も思ったのですが、演出のスタイルなんでしょうか、リアクションがやたら大きい。若さあふれる感じがとても素敵です。

次回公演日程は未定みたいですが、また元気な姿を拝見したいものです。