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2010年3月10日 (水)

THE KISS, grants a name.(to you)/とばずがたりのマリア【バンタムクラスステージ】100308

2010年03月08日 芸術創造館

全然知らない劇団だったんですけど、有名なんでしょうね。客席に役者さんのお顔もチラチラと拝見できました。

会場内に入ると、舞台は四角のステージの角にパイプイスと細い柱。幻想的な照明。

あっ、これは苦手な芸術的作品だとすぐ察しました。作品内容も1980年代の上海を描いたものです。

今日は厳しい観劇になるなというのと、昨年末より続いた芸術創造館の公演にハズレ無しがついに終わりを迎えるなと覚悟したのですが、いやいやそんなことありませんでした。

確かに笑いはほぼ皆無だし、全体的に暗い雰囲気の中で進む奥深い芸術的作品でしたが、非常に分かり易い面白い作品でした。ただ、時代背景をしっかり勉強していないと、本当の面白味は味わえないかもしれませんが。

2時間20分、しっかり集中して観劇できました。

時代は1930年代。上海のアヘン農場を営む黒社会のお話。
アヘン農場を所有する犯罪組織一家。ボスである男は弟たちに殺されます。理由は戦争が始まり、日本人の制圧が迫る中、先祖代々守り続けた農場を売り渡そうとしていた疑いを持たれたのです。
ボスの娘は、この出来事を呪い、自らのこれまでを否定し、洗礼を受けて新しい名前の元に生きようと考えます。しかし、ボス亡き今、弟たちの絶対政権となっており、外出することすらで出来ません。
一方、花街。勘当された御曹司の日本人と花街の女が何やらやっています。女は賽の目を自由に読む能力があり、これを利用して儲けようとしているのです。協力してくれたら何でも買ってあげるという男に女は言います。名前が欲しいと。小さい頃に捨てられて花街に連れてこられているので名前が無いのです。儲けたお金で洗礼を受けることにします。
やがて、日本人の進攻が着々と進み、戦争は免れないような状態になります。
混乱する動向の中、洗礼を受けようとする女たちは教会で出会います。ボスの娘は家から逃げ出して、賽の目の女は、男は捕まってしまいましたが自分は何とか逃げ出して。
教会にはボスを殺した弟たちがいます。日本人の制圧に屈服せざるを得ない状況になり、今となってはボスがとった行動が一家を守る方法だったのではないかという状況です。でも、弟たちは、古き先祖は政治的な解決ではなく、戦って守ってきた誇りを忘れてはいけないという考えを捨てません。考えは違えどもこの人たちも守りたい気持ちは一緒です。
洗礼を神父にお願いする女たち。でも、この神父は、本当の神父ではありません。ボスと取引をしようとしていた日本人諜報部員だったのです。今さら、どうしようもないですが、彼を拷問にかけて全てを明らかにしようとする弟たち。そして、弟
たちは上海は戦争に巻き込まれて危険だと女たちを列車に乗せて逃げるように指示します。弟の一人を護衛につかせて、逃げようとしない女たちを、無理やり連れていきます。
教会に残された神父と弟は迫る戦火の餌食になることでしょう。
列車乗り場についた弟と二人の女。ボスの娘は、それでも神父を愛すると教会に戻る決心をします。弟が目を離したすきに逃げだそうとする女。もう一人の賽の目の女に名前がないことを知り、自分の名前を渡して立ち去ります。
新しい名前を手に入れた賽の目の女は、弟とともに列車で出発します。

難しいな。要はあらゆる犠牲のもとに名前を手に入れた女の新たな出発という形で、話は終わるわけです。

終始、暗い時代背景の下、物語は進み、最後も希望はあれども悲しく切ない気持ちになります。

その中でも人の意志の強さみたいなものを奥深くに感じさせるような気がします。

ここは男優さんがかっこいいなあ。特に神父役の福地教光さんは、コメディーユニット磯川家の先日の公演でも客演されていて、男前ぶりに目を引きましたが、今回はよりいっそうかっこいい。

苦手な分野だったのに、意外に楽しめて良かったです。

色々な形の演劇があるものです。先日拝見したピースピットのようにエンターテイメント性にあふれた作品もあれば、こんな作品もあります。

まあ、これだってエンターテイメントなんでしょうが。ここで使っているのは、歌あり、踊りあり、笑いありなど話の流れとは別の要素も楽しませるパターンのことを言っています。

純粋に物語を観せるというパターンを芸術的作品と呼んでいるだけです。

いい感じで観劇出来て、ちょっと満足。分かりやすく作品を作ってくれているのでしょう。こういうところはとても重要です。分からない奴は見なくていいみたいな、自己満足主義でいい作品作られても、私のような者は楽しめませんから。

今回は幅も広がり、大変勉強になった観劇でした。

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コメント

芸術的作品で見やすいものに出会えてよかったですねっ★

そうゆう部類の作品は、作りての思った通りに伝わること

って難しいでしょうね(*^-^)

十人十色とゆう通り、感性もいろいろですからね~★

投稿: mio | 2010年3月11日 (木) 20時31分

>mioさん
芸術的作品をしっかり見れると、何か知的な人間になったみたいで嬉しいですね。
作り手の思惑のどれくらいを理解できているのかは分かりませんが。

投稿: SAISEI | 2010年3月12日 (金) 00時12分

上海とは違いますが満州で日本人は何をしたのでしょう?


第二次世界大戦後の日本を支えたのは紛れも無く女性です
過去の悲しい出来事を思い出してしまうネガティブな自分に反省m(._.)m

投稿: まこと | 2010年3月13日 (土) 16時03分

>まことさん
時代背景として、万州も絡んでいるみたいです。
劇中に、会話で出てきましたから。
不勉強でよく分かりませんが。
悲しい出来事でも、思い出さないといけないことかもしれません。

投稿: SAISEI | 2010年3月13日 (土) 23時53分

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