夜の逃げ水【PAD assist】100329
2010年03月29日 シアターカフェ Nyan
演出の片山加菜さんのブログから抜粋すると、「仕事と両立が可能な演劇団体の可能性を探る」ことを目標展開された劇団のようです。
パンフレットにも、平日の仕事帰りに観るのにふさわしい作品として出来上がったことが書かれています。
1時間弱という短い時間で、言葉では表しにくいような人の感情を表現する作品でした。
場所も天井の高いカフェの中に少しの空間を設け、20名程度の客の前で演じられるので、不思議な感覚で観劇しました。
登場人物は4人。
入籍をする予定の男と女。男の友達。女の妹。
男は先日、女の母親に挨拶にいって、少し嫌な事を言われたようです。父親は最近亡くなっています。仕事もやりたいことをしているわけでなく、結婚にもそれほど執着していない。何か漠然とした不安を抱えているような人です。何かを変えたいのか、引っ越しをしようとしています。
女は母や妹とそれほどいい関係を築いてきていないようです。肝臓を患っています。男が決して嫌いというわけではないのでしょうが、同じくそんな執着をみせていない。引っ越しも賛成も反対でもない感じ。この人も何か揺れ動いているような感じです。肝臓の病気が悪化して入院しますが、男に伝えず入院します。
女の妹は、姉のことが好きではないみたい。男に興味があるのか、ちょっかいを出します。過去に何かしがらみがあるのか、自分だけの人生をまだスタート出来ていない感じ。
男の友達は不動産屋。女のことは特別の意識を持っているようです。東京に出て活躍したい気持ちで揺らいでいるようです。過去にも決断して辞めた経緯があるみたいですが、少し女も関係しているのかもしれません。
だいたい、こんな感じの背景を持つ人たちの話です。
要は何かユラユラしていて、何かによって起爆すれば変わった方向に人生が進むのでしょうが、何かによってストップがいつもかかってしまっているような状況です。何かばかりで分かりにくいでしょうが。
話は女が黙って入院した後、戻ってくるというだけです。
特に何か大きな事件、例えばよくありがちな女と男の友達が浮気したり、男と女の妹にそういう感情が芽生えたりなどはしません。ほのめかすぐらいのことは起こりますが、最後までは決して貫かれません。
最後もぼや~っとした感じで終わります。
普通だと退屈な作品で、最後も悪いというように感じたでしょうが、上述したように平日の仕事帰りに観る作品としては成立しているような気がしました。それに、題名の夜の逃げ水、遠くに手を伸ばすけどつかめないという観念は十分すぎるぐらいに伝わる作品でした。
基本的に歌って、踊ってのエンターテイメント的な作品が好きですが、こういう作品も楽しめるようになってきたみたいです。
役者さんはSUN!!さん(ミジンコターボ)だけは拝見したことがあります。
この方は、一人芝居やピースピット作品、所属劇団公演で、すごく元気にファンタジーっぽい役をされるので、とてもお気に入りの役者さんです。ダンサー出身なのか知りませんが、踊りもとっても魅力的です。
今回、こういう現実的な役柄を始めて拝見したので少し違和感がありましたが、関西弁に独特の声には相変わらず魅了されます。舞台が席の目の前なので、もう本当に間近でお顔を拝見しましたが、この方すごい美人ですね。
けっこう、この方を中心に観劇してしまいましたが、理由があります。ブログをよく拝見しているのですが、最近愛猫が亡くなられたみたいなんです。いつもものすごく前向きで元気な文章なんですが、その後しばらく寂しさが見え隠れする感傷的な文章になっているので、何となく気になっていたんです。つらい気持ちで、多分この公演や今後の公演の稽古して大変だろうなと。演劇は閉じこもって出来る仕事ではないでしょうから。しかも、公演場がNyan(猫庵)だから意識するだろうと。
もちろん観劇していてそんな素振りは一切出されませんでしたが。
公演は31日まで続きます。不思議空間を楽しめると思いますので、足を運んでみては。
ちょっとモヤモヤ感は残るような作品ですけどね。
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コメント
コンセプトと外観が素敵なお店ですね☆
よくカフェとライブハウスが
一緒になってるところは見るんですけど、
これは新感覚(*゚▽゚)ノ
女優さんも近くでみれてなんかいいですね~☆
投稿: mio | 2010年3月31日 (水) 21時31分
>mioさん
ここもライブとかやってるみたい。
オーナーが基本的に一人芝居を応援しているみたいですね。
女優さんじゃないよ。役者さんだよ(゚ー゚;
さ来週も時間があれば別の公演見に行こうと思っています。
女優さん4人が出演されるやつだけど(^-^;
投稿: SAISEI | 2010年3月31日 (水) 23時00分
演劇とは違いますが高校生の時にライブが出来るお店を出したいと言ってた同級生がいました
学生からしてみたらライブハウスでの練習やライブはお金かかるから安く場所を提供したいと
投稿: まこと | 2010年4月 4日 (日) 09時11分
>まことさん
いいですね。
そういう後に続く者たちに自分がした苦労で本質的でない部分を緩和させてあげたい気持ちが素晴らしいです。
ここも一人芝居を応援することで元々作られたみたいです。
こういうところから、活躍する役者さんがたくさんでると嬉しいですね。
投稿: | 2010年4月 4日 (日) 18時19分