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2010年3月24日 (水)

通天閣ブルース【劇団そとばこまちプロデュース そとばkitchen】100322

2010年03月22日 そとばこまちアトリエ Black Boxx

題名から、勝手にコメディーを想像していたので、意表をつかれました。

笑いもたくさんありとても楽しかったのですが、深いテーマであるとともに、今の大阪の社会風刺的な要素も入っています。その中に、大阪らしい人情も感じさせられ、さすが関西の老舗劇団だなあというところですね。

*公演は来週もあるようです。若干ネタバレ含みますのでご注意ください。

舞台は通天閣。ビリケンさんがいる部屋です。
そこに穏やかな青年と無邪気な少女。何か一風変わった雰囲気を持つ二人です。
ズタ袋が二つ。その中には何と大阪府知事とその秘書。
二人は知事達をさらってきたのです。通天閣タワーの周囲は警察が既に取り巻いています。
担当警官の二人が通天閣タワー1Fで緊急事態に備えます。

二人がたてこもるビリケンさんのいる部屋には、なぜかエレベーターガールや記者も入り込んできます。ドタバタする中で、事件の真相が分かってきました。
二人は知的障害者。自分たちの働いていた施設が火事になってしまいました。大阪の黒字化へ向けた厳しい仕分けにより、こんな施設への補助が得られるわけありません。これ以上の経営が出来なくなってしまったのです。仲良しだった仲間たちと一緒にいられなくなることを悲しみ、純粋に知事にお願いをしようとしたわけです。

二人のことを知った施設の人たちや親族たちが必死に説得します。担当警官も上層部の指示に逆らい、強硬突破を引き延ばします。でも、もはや引きさがることが出来ない状況です。

警察がついに強行突破策にでました。刃物を持つ穏やかな青年に照準を合わせて、ライフルが・・・。
彼に狙いの定まった弾が発射されました。

ここでビリケンさんが動きます。彼の急所に当たらないように、時間を止めて彼を動かします。

刃物を持った腕を撃ち抜かれた青年。赤く染まる彼の服の中から一枚の紙。
「嘆願書」。内容は、自分の命は薄いものだけど、その命をかけて、施設再建を願うことが書かれています。
彼は初めから命を引き換えにする覚悟をしていたのです。

二人は捕まり、事件は解決。
次の日の知事会見で「このような事件に臆することなく、大阪再建に努める。犠牲はつきものだ。」とこれまでどおりの強気の発言をされます。
会見終了後に担当警察官に二人の今後についての報告を受ける知事。別れ際に言います。「あれは自分がもらったものだから返せ」と。警察官から血のついた「嘆願書」が渡されます。

あらすじはざっとこんな感じです。

説明不足はあるものの、かなり真面目な作品っぽいでしょ。でも、実際はテーマがそうなだけで、楽しく進みます。もちろん、最後の方は、登場人物の色々な思いに感情移入して、少し泣けますけど。

そとばこまち=関西老舗の有名劇団=うまいという勝手な意識構造ができてしまっていることがあるにしても、観劇していてやっぱりすごいんだなと思いました。
当たり前なのかもしれませんが、とにかく声が聞き取りやすい。たまにというかよく何しゃべられたか聞き取れなくて、それがかなり重要なキーワードを含んでいた時があります。それが全くない。役者さんの鍛錬だけでなく、音楽などの入れ方なども、関係しているのかもしれません。

あと、動かない演技で本当に動かない。まあ、観れば分かりますが、ビリケンさんの本村公嗣さんは基本ずっと笑顔で座られています。観ていて最後の方はそれが当たり前に思えるぐらいに全く動きません。
そして、時間が止まるシーンで、ほとんどの役者さんが本当にぴったり止まる。特に久野麻子さん(スイス銀行)は、ずっと観ていましたが完璧に動きませんでした。
役者さんにとっては練習で普通にすることなのでしょうけど、素人としてはプロの技を見せてもらうような感じでとても得した気分になります。

5月、10月と公演があるみたいです。場所は、今回と同じ劇団のアトリエです。
このアトリエ、今回、初めて行きましたが、けっこう大きい。十三のごちゃごちゃしたところのビルに、こんな劇場があるなんてびっくりしました。

次回作を楽しみにしています。

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コメント

なんか、ココロがきゅんってなる感じですね。

先日お仕事の関係で養護学校の入学式にいってきました。

明るいですよ~♪

彼女、彼達は(*^-^)

なんかいいのかわらないですけど、

あたしももっと頑張ろうって思いましたっ!!

投稿: mio | 2010年3月26日 (金) 18時12分

>mioさん
何か漠然とした寂しさの中、進む物語が通天閣の場にぴったりでした。

そんなお仕事もしてるんだ。
あの子達は、失っていない何かがあるからね。
大学時代にボランティアで一緒に遊んだ子は元気かなあ。人づきあいが昔から良くないので、向こうから近付いてきてくれると嬉しかったなあ。

投稿: SAISEI | 2010年3月27日 (土) 17時24分

血の付いた嘆願書を受け取る所でウルッときちゃいましたね

なにが正しくなにが正しく無いか 政治家だけを悪者には出来ないですよね

知的障害ではありませんが小児麻痺のお子さんの父親で会社の先輩に「可愛そうと思うのならその人を見下してみてる」と言われた事があります

投稿: まこと | 2010年3月28日 (日) 10時16分

>まことさん
そうですね。私も同じ所でウルっときました。

私もボランティアサークルに所属していた頃、同じようなことを言われたことがあります。でも、かわいそうはかわいそうでいいと思います。別に普通と心底思えることが差別意識をなくすことになりますが、それは無理だと思います。

投稿: SAISEI | 2010年3月28日 (日) 18時04分

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