＜DVD＞赤とうがらし帝国【劇団鹿殺し】

先日の公演「スーパースター」で入手した前回公演作品DVD。去年の夏頃に劇場でも拝見しています。
（http://ksaisei.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/100207-0dad.html）

頭の中がまだ鹿殺しモードになっている間に観ておきます。強烈なインパクトを放つ劇団だけに、他の穏やかな作風の劇団を見た後とかだと、影響を及ぼしてしまいますからね。

この劇団の魅力がだいぶ感じられるようになってきた感じがします。役者さん、特に男優さんたちの体もごつく、あふれ出るパワーが半端じゃないので、そちらに目がどうしてもいってしまいがちでしたが、あらためて観ると、繊細な優しい気持ちをとてもうまく表現されています。

さすが、路上ライブなどを数多くされてきた実績があるだけに客側の視点にたったエンターテイメント性は見事なものです。劇団を好きにさせるような見せ方が大変上手。喜んでだまされてしまいますね。

作品自体は力強く生きていく女性の人生談を中心に、ちょっと臭いような思いを伝えてくるようなものです。

一生懸命生きているプロレスラーの娘として生まれた女。彼女は父に自分の思いを、自分の中に住む小人たちに願えば何でもかなうと教えられます。その小人たちが住む世界が「赤とうがらし帝国」。自分はその「赤とうがらし帝国」の王女なのだと。
数多くのふりかかる不幸に出会いながらも、その言葉を信じて、前向きに色々なことにチャレンジします。その中で、彼女のために犠牲になった人たち。彼女のことを思い、彼女が生きていく力となってきた人たちです。舞台は、その人たちを彼女の骨として扱い、その一つ一つのエピソードをまじえながら進みます。
時には挫折しながらも前へ前へと進んできた彼女。もう疲れた彼女は、最後に今度は自分が愛する人の骨となろうと考えますが、・・・。

最後は少し重い気持ちになります。でも、悲しい結末ではありません。人間の力強さみたいなものを見せられて、それに対する重圧のようなものでしょうか。前へ進むって簡単なことじゃない。だからこそ、進むときは真剣な思いなんだって。

気になったのは、東京を拠点とされているのに、関西ネタがちりばめられているところ。地名や地震などの事件などなど。このDVDは東京の劇場で録画されたものですから、意外でした。場所に応じて、地元に合わせるのかと思っていましたから。だから、明らかに外したなって箇所もありましたが、自信があるのかお構いなしみたいでした。

作品としては、先日の公演とよく似た感じがします。多分、10年目を迎えた劇団のさらなる活躍を象徴した作品として出来上がっているのだと思います。

多分、東京にでも行かない限り、次回拝見できるのは来年。その頃には、新たな出発を始めた劇団の作品が見れるのかと思うと楽しみです。

この1年、むこうでさらに活躍して、力強い姿をまた拝見したいと思っています。きっと、こちらにも、この劇団の活躍は伝わってくるでしょうが。