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2009年12月10日 (木)

<なったらどうする>ALS(筋萎縮性側索硬化症)その2-2

<コミュニケーションが出来なくなる前に>

準備をしておきましょう。いずれやってきます。喋られなくなる日が。色々な機器がありますが、機器によっては補助を受けるには言語障害2級が必要だったりして手続きが面倒くさいです。細かなことは案外ケアマネさんも知らなかったりします。むしろ病院の言語療法士の方に聞いた方が早い時があります。

申請は役所仕事の上に地域によって扱いが変わります。うちの場合は進行が急だったので、言語障害の級を申請していませんでした。そのため、いざ喋られなくなった時にすぐ機器が入手できなかったのです。申請に言語障害の等級が規定されていたわけです。高価な機器を自費だけで購入する訳にもいかないので、とりあえず自費で購入して、後付けで申請すると言いましたがこれがダメとのこと。聞けば隣の市はOKだとか。ひどい話です。ここで泣き寝入ってはだめですよ。だって、コミュニケーションが現実に取れなくなってしまったから早急に欲しいのですから。ALS協会などとも相談してください。

私の場合は、役所の担当の人に

「規則ならばしょうがないですね。ただ、すぐに手配してもらえないということは、ナースコールも押せなくなり、しゃべることもできなくなった父にとって、自分の要望を伝える手段が無くなったということ。助けてくれということが伝えられず、死ぬようなこともありえるかもしれません。もし死に際に立ち会えたなら、死を迎える父にあなたの名前を伝えてこの人を恨んでくれと言いたいので、フルネームで名前を教えていただけないでしょうか」とか

「分かりました。でも隣の市で出来るということは、改善できることだと思います。私達はいいです。でも今後の方のために父の死後、県に掛け合おうと思います。いきないどこに行けばいいのか分からないので、是非あたなたからご紹介いただきたい。少なくとも何者か分からない人が行っても相手してくれないと思うので、あなたの知り合いであることを相手に伝えたいので部署や課などあなたの所属をはっきり教えてください」

みたいなことを話しました。結局、違う手段を考えてくれて、補助費を後から受ける形で下記機器を入手。やればできるんです。役所の人はすぐ自分が動かない方向で物事を進めようとしますから。

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ALS患者の中では有名なレッツチャットです。まあ、これは上のようなややこしいやり取りをしなくても、自費で何とか購入できるレベルですし、ALS協会が貸し出してくれたりします。要は色々な手段を使って、必要な機器は欲しい時に手に入れようということです。わがままなんかじゃないですよ。これ以上の我慢をなんでしないといけないんですか。

こんなことを書くと、きつく接した役所の担当の方に叱られてしまいますが、うちはこの機器をほとんど使っていません。すぐに入手できなかったら死ぬとまで言ったのに。本人があまり好きでないみたいです。これよりも、

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こういうボードを自分で作って、あかさたな・・・行を指していって、次にその行の文字を指していく。表情で話そうとしている文字を察するというようなやり方の方が手っとり早いかもしれませんね。

あとは、

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まだコミュニケーションが取れる間に、よく要望される項目をボードにしておき、合図を決めておきましょう。多分、目は最後までやられません。上下左右に黒目を動かす、目を閉じるなど幾つかのサインができるはずです。


<費用>

在宅介護するにせよ、ヘルパーさんは必須ですよね。介護保険の枠内では足りないので自費負担も大きくなります。入院しても、特定疾患なのでひと月の費用は決まっていますが、その他、もろもろかかってきます。介護用品のレンタル代、疲れてきますのでタクシーや外食の頻度も高くなります。医療保険にはだいたい入っていて、入院費が毎日いくらか支給されますが、それも半年ぐらいで打ち切りになるはずです。保険に入られている場合はALSになったことを伝えて、支給される項目をしっかり確認してください。うちの場合は、医療保険に死亡保険も若干つけていましたが、死亡、もしくは重度障害の場合に一時金支給という文を見つけて、問い合わせたところ、認められました。もし、支給が認められなかった時に色々と対抗しようと他の保険会社にも何軒か問い合わせしましたが、ALS=死亡と処理されるのが基本みたいです。
こういうことになってしまったからには患者本人のことも大事ですが、周囲の介護に関わる人の生活も重要です。せめてお金の心配を減らして、少しでも心の余裕を持たないといけません。



この他にも色々と悩むことが多くなると思いますが、日本の介護制度は捨てたもんじゃないと思っています。けっこうソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんなどが頑張ってくれます。手続き関係など、お任せすることはお任せして、家族は患者と接する余裕を持った方がいいと思います。
つらいことばかりで、なんでこんなひどいことにと思うでしょうが、次の日にはまだ昨日の方がましだったと思ってしまうような進行性の病気です。ですから、今日悲しんではいけません。明日もっと悲しむことになりますから。悲しむのは最後の日だけと決めてしまいましょう。毎日、患者の昔を思い出しながら、したら喜ぶだろうことを考えて、実現させてあげるような日々を過ごしていかれればと思います。

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